二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 学園アリス~絆のアリスストーン~二話up!! ( No.6 )
- 日時: 2010/04/30 16:54
- 名前: 夜琉 ◆nFgGo2zKeY (ID: CUrDDjil)
- 参照: http://d.hatena.ne.jp/my-reborn/
三話 「良い出来事。そして、衝撃の言葉」
「な、なぁ、夢羽ちゃん」(蜜柑)
「何? えっと……」(夢羽)
蜜柑が、夢羽に向かって息を切らしながら言う。
そんな蜜柑の発言に、夢羽が足を止める。
夢羽の考えこんでいる姿に、委員長が気がつき言った。
「あ、この子は蜜柑ちゃん。佐倉 蜜柑ちゃんだよ」(委員長)
「蜜柑ちゃんか。何かな?」(夢羽)
夢羽が、ニコッと笑って蜜柑に聞く。
蜜柑は、そんな夢羽に聞く。
「あ、あの、今、どこに向かってるんかなー? って」(蜜柑)
「……ごめんね! 今は言えないんだ! 着いてからのお楽しみ!」(夢羽)
夢羽が、満面の笑みで言った。
だけど、蜜柑にはすぐ分かった。
無理してる、ってことが。
今の笑みは、“作り笑い”だってことが。
そう思った理由は、ただ一つ。
どれだけ笑っていても、“悲しみ”というものがその表情にあったから。
それでも、蜜柑は何も言わなかった。
ただ、ただ夢羽の笑顔を見ていただけだった。
————
しばらくして、着いた場所は“病院”だった。
誰も予想していなかった、残酷な真実。
信じたくない。信じられない。
「ここに入院している」って誰も思いたくない。
だけど、“入院”以外に、ここに理由など一つもない。
そんなだけど、会いたいから我慢くらいはする。
それが、B組の仲間なのかもしれない。
棗達(取り巻きも含む)は別としての話ではあるが。
「これで分かったよ……ね? それでも、行くの?」(夢羽)
夢羽が心配そうに、皆に聞いた。
その表情は、今までみたことのない、本当の悲しみだったのかもしれない。
家族の命が、失われるかもしれない。
そういう、「死」という恐怖。
だけど、恐れてはいけない。恐れては。
「ウチ、琉羽ちゃんのこと知らんけど、傷ついてるかも知らんけど、ウチは会いたい」(蜜柑)
蜜柑の言葉に、皆が続く。
「そうだよ。僕達は、琉羽ちゃんに会いに来たんだよ?」(委員長)
「琉羽ちゃんに会えるんだから、帰るはずないじゃない」(スミレ)
生徒の口からは、「会いたい」の一言が毀れる。
帰りたくない、帰らない。
琉羽に会うために、一目でも見るために。
夢羽の口からは、たった一つの言葉が毀れた。
「ありがとう」(夢羽)
ただ、その一言が。
その言葉を合図にしたかのように、皆が一斉に走り出す。
そんな生徒達の顔に、悲しみはなかった。
————
着いた場所は、「208」号室。
その名前の札のところには、稀依野 琉羽と書かれてあった。
無残な姿になっているかもしれない。
それでもいい。琉羽に会えるならば。
ここまで来たならば、会えるだけでもいい。
とにかく、会いたい。
そんな覚悟を胸に、夢羽は扉を開けた。
その先に見えるのは、白いカーテンに白い壁。
もうそこは、白尽くめの部屋だった。
「琉羽……、来たよ」(夢羽)
夢羽の視線の先には、横たわっている琉羽が居た。
両頬にはカーゼ。手や足には包帯と言った様子。
そんな琉羽の口元には、呼吸器が付けられていた。
夢羽がまた、琉羽に声をかける。
「琉羽、皆も来てくれたよ?」(夢羽)
「……見たら分かるよ」
花瓶の水を替えていた夢羽が、誰かの声に反応した。
ビックリして、皆に聞く。
「皆、何か言った!?」(夢羽)
「え? 何も……」(委員長)
委員長が不思議そうに言う。
生徒達はまだ、心の準備が出来てないのか、部屋には入っていなかった。
夢羽がまた、ビックリしたように言う。
「え? でも……」(夢羽)
夢羽がそう、言葉を発した時だった。
「夢羽、皆じゃなくて、私」
また、聞こえてきた声。
生徒達の声ではない。それは確か。
だけど、他に声を発する人物は居ない。
じゃぁ誰がと思ったその時、夢羽はハッとなる。
「琉……羽?」(夢羽)
夢羽が、恐る恐るベッドを見ると、そこには呆れている琉羽の姿があった。
しっかりと目を開いて、こちらを見ている琉羽の姿が。
夢ではなく、これは現実。
実際のこと。
琉羽は、目を開けてこちらを見ている。
「目、覚ましたんだ……ね!」(夢羽)
夢羽が涙を溜めて言う。
そんな夢羽とは裏腹に、琉羽の表情は険しかった。
何故かという、理由を知る者は居ない。
ただ、勇気あるものだけはいた。
「なぁなぁ、なんでそんな深刻そうな顔してるん?」(?)
ただ一人、唯一の人。
それは、蜜柑であった。
蜜柑の一言に、琉羽はビクッとなる。
何故かは、誰にもわからない。
だけど、必死に見つめる生徒達に負けたのか、口を開いた。
だが、その吐き出した言葉は、理由になんてなっていなかった。
「……私にかかわらないで」(琉羽)
初めて会った蜜柑に言った言葉が、「かかわらないで」の一言。
ありえない、出会いの瞬間ではあった。
だが、蜜柑はムッとなるだけど、落ち込みなんてしない。
むしろ、聞き返すタイプだ。
「なぁ、なんでかかわったらあかんの? 同じクラスの仲間やん!」(蜜柑)
「……貴方達のために言ってるんだよ。傷つかないように。大切な人だから」(琉羽)
琉羽の言った言葉が、何を示しているのか。
それを知る者など、誰も居なかった。