二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: テガミバチ ( No.16 )
日時: 2010/05/03 23:17
名前: すもも (ID: 84ALaHox)

第七話

「ん・・・・」

「クエェ—!!」

リリーは目を覚ました。
窓からの光は、いつも見る黄昏色。
アンバーグラウンドの空の色は、変わる事が無い。
目を覚ましたリリーを見て喜んでるアスを撫でて、
今は何刻か知りたかった。

「・・・・11刻だ」

まるでリリーの考えている事を見透かしてるように、
今の時刻を言う声があった。
それは・・ザジだった。
「ざ、ザジ・・! もう次の日か・・・ここは?」
リリーは真っ白いベッドに寝ていた。
ここは・・「サンダーランドJrが寝かしたんだよ。
病室だ」

ザジはベッドの横に椅子を置き座っていた。
——ま、まさか私の寝顔をずっと横で?——

そう考えるとカアァァと顔が熱くなり、隠すように
手で押さえた。

「あ? 熱があるのか?」

ザジは手袋を取った手でリリーの額を触った。
ザジの手は、ひんやりと冷たかった。
ずっとここに居てくれてたのか。
「熱は無いようだぜー良かったな」
二ッと八重歯を見せ、ザジは笑った。

熱が無いとは信じられないくらい、
リリーは自分の顔が熱くなっていると感じていた。
なるべく話を変えたかったので
「あの・・・ラグは? ニッチやアスは・・・?」
と、心配そうに聞いてみた。

ザジの顔が、変わった。気がする。

『ラグ』という言葉を聞いただけで。

—リリーは、そう感づいた。

病室はしんと静まり返り、働く医療班助手達の足音だけが響く。

「・・・・知らねぇーよ」

また、冷たい声。  怖かった。   —蘇った。

自分の両手は震えていた。ザジを傷つけた・・・?

「もうすぐコナーとか来るんじゃねぇの。
オレ、頼りねーからそっちに任せるわ。」

そう言い病室の扉を開き、閉めた。
閉める時にザジが振り返る事は無かった・・・

カタカタと震える手。

すると扉がコンコンとノックされ、入ってきたのはコナー。 お見舞いにいっぱいの食べ物を持ってきた。
アスは嬉しそうに舞い踊り、食べ物をついばんだ。

「リリー?顔色悪いねー食べ物でも食べて元気出してよ」
コナーは明るく大きなメロンパンを差し出した。
リリーは首を横に振る。降ろした淡い水色の髪の毛が
パサパサッと揺れた。

「いらないんだー・・・あ、ここだけの話、ラグはリリーを負ぶって帰ってきたんだよー」

リリーの暗かった顔は、目を開き驚いた。