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「トムさーん…今日の仕事終わりですかー？」
いかにも元気がなさそうな女性——幸村珠理亜は上司の田中トムに向かって叫ぶ。
己の名が呼ばれるとくるりとトムはこちらを向き、「まだだ」と言うようにに首を横に振り肩を竦めた。

——まだあるのかよ。
心中で舌鳴りをする珠理亜。
珠理亜は仕事もしっかりとやるし働きも良いのだが——

「嗚呼！もう！すいません、トムさんッ！帰ります！臨也殴ってきます！では！」
短気なのがたま傷だ。
走り去る珠理亜の背中を見ながらはぁ、とトムは溜息をつくと後ろで煙草を吸っている静雄に最低限の言葉で伝えた。

「静雄、ちょっと珠理亜の事。追いかけてくれ」
「……了解っす」