二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 鋼の錬金術師 —光と闇— 【リレ小】 ( No.12 )
日時: 2010/06/11 18:56
名前: ちー ◆m6M0e7LQrQ (ID: pibIqQxN)

     第七話

「こちらが神殿です。……あら! 少し待って下さいね!」

 ロゼはかけだすと、像の前にひざをつき、両の手を組み、目を閉じた。何かを祈っているらしい。エドワード、アルフォンス、ナイナ、ルイは、椅子に腰かけた。
 ロゼは目を開けると、何度かまばたきをして、自分の方をじっと見つめているエドワードを見た。

「? なんでしょう?」
「いや……。あいつ、水雷の錬金術師。どこに行ったんだ?」
「……それは……。簡単に言えば……機械鎧<オートメイル>の整備、でしょうか」
「機械鎧<オートメイル>!?」

 ロゼは唇を真一文字に結び、真剣なまなざしでエドワード達を見た。エドワードは驚きの表情を隠せずにいる。アルがどこに自分たちと同じような機械鎧<オートメイル>をつけていたというのだ?
 ロゼは目を閉じ、再び像に向かって手を合わせた。

「言えるのはここまでです。……後を言うと、アルのおさえた物をまた掘り返す事になってしまいますから」
「……人体錬成、とか」

 その瞬間、ロゼの表情が強張った。が、平然を保とうとしているらしい。ひきつった笑みで、エドワード達に微笑みかけた。額には汗がびっしりとはりついていて、かなり無理をしているらしい。
 
「……何のことでしょうか……。あてずっぽうはやめてください」
「あてずっぽうかどうか……。というか聞きてぇんだけどよ、コーネロって、何者だ?」

 エドワードが言った瞬間、ロゼの表情が一瞬にして明るくなった。ナイナ、ルイは、げんなりとした表情になる。

「コーネロ様! 私達に未来を約束してくれたお方です! ……死んでしまった私の恋人を蘇らせるという約束をして下さった……」
「死んだ恋人を蘇らせるぅ?」

 ナイナがため息交じりの声で、ロゼの言った言葉を繰り返した。半分あきれているのだろう。顔が面倒そうだ。
 だがロゼは真剣な顔で深くうなずいた。

「えぇ。コーネロ様はそう約束して下さったわ」
「……けっ。“死する者には復活を”本気で信じているのかよ!?」
「やめときなさい、ロゼさん。あとで絶望に打ちひしがれるのは、貴女なんだから」

 ルイのとげとげしい感情のこもっていない言葉に、ロゼはむっとなった。ナイナが慌ててルイの口をおさえるが、もう遅い。ロゼは完全に怒っていた。
 エドワードがため息をつき、コートに手を突っ込むと、ボロボロの手帳を出した。かなり多くの付箋がはられている。エドワードはその手帳を開けると、ブツブツと呪文の様に何かを言い始めた。

「水35リットル、炭素20キログラム、アンモニア4リットル、石灰1.5キログラム、リン800グラム、塩分250グラム、硝石100グラム、その他もろもろ……」
「エド、手帳にそんな事書いてるの?」
「うるせぇよ、ナイナ。大人1人分として計算した人体構成成分だ。今の科学ではここまで分かっているのに、実際に人体練成を成功した例は報告されていない。科学でもできないことを祈ったらできるのかよ!」

 エドワードは手帳をコートに片づけながら、ロゼに向かって叫んだ。ルイが後ろで「あの子に分かるわけないじゃない」等と呟いていたが、エドワードはそれをあえて無視した。
 ロゼはさらにむっとした様子だ。

「“祈り信じよ。さすれば汝が願い成就せり”です。コーネロ様の教えに間違いはありません!」
「ちなみに構成分材料な。市場に行けば、子供の小遣いでも全部揃えられちまう。人間ってのは、お安くできてんのな」
「人は物ではありません! 創造主への冒讀です! そんな事を言うと、天罰が下りますよ!」

 ロゼは怒鳴ったが、エドワードは全く気にもしていない様子だ。ナイナ、ルイが後ろでため息をついている。

「……ロゼ?」

 神殿の扉が、ゆっくりと開いた。そこには、アルが立っていた。エドワード達も、その方向をむく。

「あ……さっきの……。ロゼ、ありがとうね。そんな顔して、どうしたの?」
「あ……いや、別に」
「おい」

 エドワードが真剣な目でアルを見つめる。アルは微笑みながらエドワードを見た。アルフォンス、ナイナ、ルイも、アルを見ている。
 ロゼは心配そうにアルを見つめている。

「お前……神の領域とやらを、犯したのか?」

 アルの顔がとてつもなくこわばった。手が小刻みに震えているのを、4人とも見逃すほどではなかった。

「……すいません。できれば……思い出したくないので」
「……そうか。頼みがある。コーネロとやらの所に案内してくれ」
「えぇ。師兄に、頼んでみます」

 まだ自分達の名も教えていないが、アルは、その師兄とやらの人物を呼んだ。師兄はエドワード達を厳しい目で見つめていた。まるで、警戒しているかのように。
 だが、それに気づいているものはいなかった。

 そこにいた4人ともが、アルを悲しげな眼で見つめていたからだ。

     ○あとがき○

今回は長いーッッ!うぉぉぉ!サーセンッッッッ!
お、お次は……燈玖黐で〜す……((力抜けた)