二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   空 【銀魂】 7話up!! ( No.191 )
日時: 2010/08/21 22:48
名前: アリス (ID: /jbXLzGv)

—特別番外編 正反対—


そう言えば、前に晋介に会えたのは何時だろう?
かれこれ、少なくとも二ヶ月は———。


鬼兵隊と、真選組。

其れは簡単に言えば、真逆———敵対する者同士の関係。
私が真選組。
晋介が鬼兵隊。

だからかな…会うことすらも、罪になる。


「けど、会いたいの」


罪になる。
そう言われれば、言われる程…晋介に会いたい気持ちは高ぶる。

もし、晋介に会ったら殺すと言われても、私は会いに行くだろう。

殺されても良い。
いっそ溺れたいから。
会えないぐらいなら、死んだ方がマシだと思う。
晋介のいない世界なんか、つまらないから。

私はそっと、晋介の頬に触れた。
以前と変わらぬ、晋介。


「唯…どうした?」

「ううん…もっと、もっと会いたいなって思っただけだよ」


前よりも悪に染まった晋介。
けど、私への態度は全く変わらなくて嬉しかった。

罪、だろう。
私がこうして晋介と一緒にいることは。
パトロールをサボり、久し振りに会えた。

いっそ溺れよう。
この深く、暗い闇に。
溺れてしまえば、光なんか届かないから。
晋介が溺れた様に、私も溺れれば良い。


「くくっ…珍しくしおらしいこと言ってやがる」

「晋介、大好き。私も…鬼兵隊が良かった。ずっと晋介といれるし、何より人目を気にせずにいてられるし…晋介と、離れることもない…」


離れたくない。
離れるのは、嫌。

次会えるのは、何時?
一週間、一ヶ月———一年先?
なかなか会えないことに、変わりはない。


「もう、ヤダよ晋介!!私も一緒に行かせてよ…お願いだから…っ」


晋介に抱き付いて、泣いた。
晋介は私の頭をポンポン、と優しく叩くと抱き締めてくれた。

嬉しい。
けど、この一時が終わる時。
更に悲しくなる。
優しくされたら、余計に辛いよ。


「お前は、闇の中でなんか生きられない」

「…嫌。私…晋介と…」

「諦めろ。お前は、光の中で生きるべき者だ。俺は…もう、遅い」


ヤダ。
ヤダよ。

どうして、大好きな晋介と離れなくちゃいけないの?
好きなのに。
大好きなのに。


「好き…」

「俺もだ」


晋介はまだ泣きじゃくる私に、少しだけ優しい笑顔をくれた。

もう、今頃屯所では遅いって土方が怒ってるだろう。
其れを、比遊が宥めてるのかな。
総悟がバズーカぶっ放して、雅焔に叱られたりしてるんだろうな。
そんなことを考えてしまう私は、きっと平和ボケしてるんだ。

晋介が、私にさっき言った言葉。
確かに、そうなのかも。


「もう、帰れ。そろそろ別の隊士が来るかも知れない…」

「うん…」


私は項垂れた。

分かってる。
晋介は私の為を思って、言ってくれてるって。
だけど、辛いよ…やっぱり。

瞬間。
顎に手を添えられ、顎が持ち上げられた。

軽く触れるだけの、キス。


「っ!?」

「あんまり煩かったからな。黙ってろ」


私はヘタリと床に座り込んだ。
ニマリと口角を引き上げ、晋介は辺りを見渡した。
其れから晋介は私に背を向け、歩き出した。

取り残された私は、呆然と———。

けど、何処か満たされた感じがした。
先程までの不安や、不信感はなかった。
あったのは———晋介を信じる心だけだった。


「…また、会えるよね…晋介」


end....