二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 空 【銀魂】 ( No.35 )
- 日時: 2010/08/26 13:12
- 名前: アリス (ID: /jbXLzGv)
3.5話 互イノ想イ
次の日。
私が起きた目の前には銀がいた。
思わず驚いて、私は布団から逃げ出す様にして後ろに下がった。
寝息を立てる銀は、なんとなく可愛かった。
「黙ってりゃ可愛い顔立ちしてるくせに…」
可愛い…というのは可哀想だし、かっこいい…?
今の話聞いてて分かった人は凄いよね♪
…私は一応…銀が好き。
ずっとずっと片思いで…前に攘夷浪士と天人の戦いの時に一目惚れしてからなの。
私が天人に殺されかけた時———唯一助けてくれた存在。
ずっと素直になれなくて、いっつも銀には迷惑ばかり掛けていた。
私には全く勇気も無いし…銀も私のことなんて好きな訳が無いから、告白なんてする訳が無い。
というか出来ないから!!
「…なぁんてね…さってと、ご飯食べてこようかなっと♪」
私は一人銀の横からのそのそと這い出ようとする。
ふと、その時。
銀の手が私の服を力強く掴んだ。
びっくりした。
けど寝てるし…多分寝惚けて私のこと握っちゃっただけだよね。
一瞬期待して損した…。
私は銀の手を無情にも払いのけ、新八の作ってくれたであろう朝食を食べに行った。
———————————(銀さん視点)
朝起きると、あいつがいた。
何故こんなことになっているのか分からなかったが、すぐに前の夜のことを思い出した。
あー…そういえばソファーで寝るのが嫌だとかほざいてベッドに潜り込んで来たのか…。
正直言ってこいつには“恥ずかしい”という感情がほぼ皆無。
むしろこいつにはうっすら殺意すら芽生える。
けど。
「まぁ…憎めない奴だよな…」
正直言って俺はこいつが好きだったりする。
前の天人と攘夷浪士との戦いの時に、後ろを任せられるのは若かったがこいつだけだった。
…あれ、ヅラもか?
まあどうでも良い。
とにかく俺はこいつが好きなんだ。
その時、アリスの長い睫毛が少しだけ揺れた。
起きて来るのかも知れないと思い、俺は狸寝入りをした。
すると起き上がったアリスはこともあろうに俺の顔を見て笑う。
何で笑いやがるコノヤロー!!
「黙ってりゃ可愛い顔立ちしてるくせに…」
その発言には腸が煮えくり返るかと思った。
飛び起きようかとも思ったが、我慢して寝たフリを続ける健気な俺。
健気つーか…変人?
「…なぁんてね…さってと、ご飯食べてこようかなっと♪」
何と無くいて欲しかった。
ただ、それだけだった。
だから俺は咄嗟にアリスの服を掴んだ。
気付かれたかとも思ったが、寝相が悪いのだと勘違いしているみたいで助かった。
アリスはそんな俺を見てクスクスと笑い、俺の手を優しく退かして朝御飯のある食卓へと去って行った。
残された俺は、ムクリと起き上がり痒い頭をボリボリと掻いた。
本当に…何であいつはあんなに鈍感なのか、むしろ聞きたい。
鈍感というか…本当に女の欠片さえない様な奴。
何でこんなのが好きなのか考えたこともない。
でも。
「好きなのは、確かだ」
俺はそう呟いて、立ち上がってご飯を食べに行った。