二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   空 【銀魂】 特別番外編up!! アンケ実施中! ( No.388 )
日時: 2010/10/15 18:40
名前: アリス (ID: /jbXLzGv)

—特別番外編 未来で(学パロ)—


私はイマイチ楽しく無い日々を送っていた。
母親と父親は事故で呆気なく死に、私は幼い頃から一人で生きることになった。
まぁ高校に行くつもりも無く、そもそもそんなお金も無い。
から、高校に行くつもりなんかさらさら無かったけど、私はそこそこ優等生で奨学金を貰えることになった。
其れならいっそ奨学金を貰う方がお得。
…ということで私は今日入学式を迎えた。


「友達なんかいないし、知り合いもいないし…う゛ぅ…止めとけば良かった」


今更後悔しても遅く、周りには既に友達の輪、という物が出来ていた。

まぁ友達を作るだけ面倒だし、別に良いや。
高校は義務教育でも無いし、後で退学届けを出しに行こう。


ガラガラ…


扉が開く音がした。
私は気にすることも無く、一人物思いに浸っていた。
母のこと、父のこと———。

どうして、私は一人…置いて行かれたんだろう?
一人は嫌だった…。


「…ス…リス…………九条 アリスウウウゥウゥウ!!」

「痛アァアアアアァ!!」


本の角で頭を殴られ、私は痛さで机につっぷした。
涙目になりながら、私は頭を叩いた相手を睨もうとした。
其処には———。

銀色の髪。
死んだ魚の様な瞳。
煙草をくゆわせ、教師の様な感じは無い。
よく見たら黒板には、「坂田 銀時」と書かれていた。


「テメェ、キョロキョロしてんじゃねぇよ。発情期ですかコノヤロー」


真面目に仕事する気は無さそう。
腹が立つ先生。
何なの、此の先生。
真面目に働いてから言ってよね、そういうことは。

私は先生を無視し、教室を出た。
追い掛けては、来ない。

やっぱりみんな、私のことなんか空気ぐらいにしか思って無い。
つまらない日々。
両親を失ってから、暗くなった私を誰も慰めてはくれなかった。
人間なんて、そんな物。
うわべだけの友達。
本当に苦しい時には、優しい言葉なんて掛けてはくれない。
だから、私は諦めたの。
友達を作ることも———生きることも。

私は屋上の扉を開いた。
サァッと風が通り、髪が靡いた。


「…苦しいよ…っ…お母さん…お父さん…っ」


一人は嫌。
寂しいの。
苦しいの。
いっそ此処から飛び降りれば、楽になるのかも知れない。
けど、死ぬのも怖いの。

みんなからしたら、私は“不良”なんだろうな。
先生に反抗して、終いには教室を出て。
何だろう。
アホらしくなって来たよ。

私はフェンスに手を掛けた。
瞬間。


「死ぬつもりか?」


声がして、私は振り返る。

さっきの、先生の声———?


「死ぬなら死ねば良い。けどな、後悔だけはするなよ」

「え、ちょ」

「死ぬのは悲しいことだけどな」

「だから」

「やっぱ考え直した方が良いんじゃ」

「黙れやアァアアアアァ!!ちょっとは人の話を聞け!!」

「何だよ」

「私は、自殺なんかしようとして無い!!此の命は、両親から預かった物なの!!絶対失わない!!」


嘘ばかり。
さっきまで、マイナス思考なことばかり考えてたくせにね。

けど。


「両親の分まで…っ…生きて、やるんだからっ…死ぬ、訳無いでしょ…っ」


涙が溢れ出す。

両親の分まで、生きたい。
両親がまだまだ生きる筈だった、此の世界。
絶望と希望が常に交錯し、いつも誰かが笑い、いつも誰かが泣いてる。
いつも誰かが死に、いつも誰かが産まれてる。
両親が死んだあの瞬間にも、誰かが産まれてた。

生きてやる。
神を恨みながら、神を憎みながら。
例え壁にぶつかろうとも、私は生きる。

先生は少しだけ笑みを浮かばせ、私の頭を軽く叩いた。


「よく出来たな。今日だけは授業サボっても点数引かないでやろう」

「煩いな…」

「煩いとか先生に言ってんなよ」


先生はそういうと、屋上から去って行った。
煙草の香りがした。
あと、甘い甘いチョコの匂いと。


「先生が煙草吸ってちゃ駄目でしょ………あーあっ!!何か、吹っ切れた!!」


私は背伸びして、眠気を覚ます。

本当に吹っ切れた。
両親のこと、忘れられた気がした。

先生は先生なりに、私を心配してくれてたのかも知れない。
嬉しかった。
初めて、人に心配された気がして。

好きかも知れない。
あの先生のこと。


「あはははっ!!自分の趣味にビビる!!」


私は笑った。
久し振りに。


お母さん、お父さん———。
私、初めて好きな人が出来たよ…———。