二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

稲妻の鳴る頃に / 崩壊パラドックス ( No.315 )
日時: 2010/12/22 22:47
名前: 宮園 紫奔 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)

(崩壊パラドックス)

 空には分厚い灰色の雲が垂れ込め、まだ夕方にも満たない時刻だというのに空は夜だとでもいうように闇に包まれていた。これで雨が降っていないのが怖いくらいで、しばらくすると豪雨とさらに雷さえも鳴り出す恐れがあった。
 鬱々とした気分の時にこんなじめじめとした環境の中にいるのは、不快さが増していくばかりで全く持って良いことなどなかった。けれども彼がその場で真っ直ぐに立ち坂の下のほう、彼から見れば遥か後方を見据え続けている理由に比べればなんてことないように思えた。
「(……始末して、置かないと)」
 汗ばんだ手でバットをしっかりと握りなおす。改めて心の中でそう呟き決意を強め、大きく息を吐き出した。本当なら、こんなことはしたくなかった——彼はそう心の中で呟いて、目を細めた。
 それでもこうしなければいけないのだと、強く自分に言い聞かせる。殺らなければ殺られる、自分自身に何度も投げかけてきた言葉は今、彼の脳内をぐるぐると徘徊し神経をすり減らせていく。
 苛立ちと恐怖、重ねて不安と悲しみ。どうしてこんなことになってしまったんだろう、ぼんやりと霞んできた脳がぽつりと言葉を洩らした。まるで麻酔のようにびりびりとその感情達が脳髄を焼き、集中力が途切れていく。脚は震え始め、気を抜けば無様に地面に倒れこんでしまいそうだった。
 もう一度、汗で濡れた手でバットを固く握り締めた。あんな獣には、情けなど必要ないのだ。

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続きます^p^ ひぐらしぱろぱろぱろろ。名づけて「稲妻の鳴る頃に」。突っ込みは受け付けません。
流血、報われない、暴力表現アリなのでみんな逃げてね! 続きいつ投稿するかわからんが。←