二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- stagnation / ヒロ玲 ( No.345 )
- 日時: 2011/01/31 03:30
- 名前: 宮園 紫奔 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
- 参照: これ書いたら寝るなう。(どうでもいい
@stagnation
「ねー、玲名」
玲名の綺麗な長い青髪を、指にくるくると巻きつけて遊びながら声を掛ける。椅子に座って絶賛読書中の玲名は、すっかりと自分の世界に浸ってしまっている。何も前置きせずに玲名にいきなり疑問をぶつけても、ナチュラルにスルーされてしまうだろう。スルーされるのは結構悲しい。玲名限定で。さびしかったら死ぬウサギなんだよ、俺は。……とか言ってみたりするけれど、全く説得力はなかった。
「……ん」
小さな呟きにも満たない言葉の欠片を洩らして、玲名が活字から目を離した。ふっと顔を上げ、それからこちらへ振り向く。指に巻きつけた髪を離すと、さらさらとしながらもふんわりとしていた髪が無性に名残惜しくなった。とはいえまた髪を追っても玲名に怪訝な目で見られるだけだろうから、やめておく。それよりも、今はこの問いかけを玲名にぶつけるのが先だ。
「玲名は、俺のこと好き?」
別に照れたり、恥ずかしくなったりとかはしなかった。なんというか、免疫を持っちゃってるっていうか。何度も玲名に好き好き言って、それで耐性が付いちゃってるのかな。それも、いいと思う。別にこの気持ちに、嘘はないしさ。……なんか俺、すごく恥ずかしいことを言ったような気がする。というかそんな気しかしない場合はどうしたらいいんだろうか。
玲名は特に表情を変えずに、相変わらずの冷めた視線を俺に向ける。呆れているような、はっきりとは玲名の考えのうかがえない視線。ぽつり、と小さくつぶやくように玲名は言った。酷く淡々とした声音で、いつもの玲名と変わりなく。
「私はお前のこと、大嫌いだ」
やっぱり? わざわざそう口にだしはしなかったけど、しっかりと心内でそう吐き出しておく。何度目かもわからない問いかけ、何度目かもわからない変わり映えしない返答。俺と玲名の関係は、せいぜいこんなものだった。進展もしなければ、衰退もしない。昔の、のんびりゆったりとおひさま園で暮らしていた幼いころと全く一緒。なんとなくな成り行きで付き合い始めて、それでも時はあのころで止まったままだ。
それが少し、さびしいけど。それでもまあ、いいと思えるわけですよ。玲名が俺の傍にいてくれれば、それで。俺の隣で呼吸をしてくれれば、それで。ほかにはなーんにも、望みません!