二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: -君を、何度でも愛そう。-  携帯小説>沙絢さんの小説です  ( No.3 )
日時: 2010/07/22 15:52
名前: flute ◆HfbRSJyz5E (ID: OKTNOssT)


———まぶしい……。
夢か現かわからないまま、ゆっくりと目を開ける。
あ……もう朝だ……。
まだはっきりしない頭で、カーテンのない窓を見ながら思った。
だるさが残る体を起こして、無数の積み上げられた段ボールと、ベットしかない部屋を、ゆっくり見回す。


———コンコン。
ドアの外から、聞きなれた声がした。
「綾。起きたか? ご飯できたよ。」
パパ、早起きだな……。
「ん……起きたよ。今行く」
ゆっくりとベットから降りて、淡いピンク色のワンピースに着替え、リビングへと向かった。


リビングに降り、キッチンで朝食の用意をするパパに、眠い目をこすりながら声をかける。
「おはよー……」
「おはよう。昨日はよく眠れた? 最近、引越しの準備でろくに寝てなかったでしょ」
 ——引越し……。

その言葉を聞いて思わずドキリとし、椅子にかけた手が一瞬止まった。
そうだ……今日、引っ越すんだよね。
まだこの家にいたいな……。
「綾?」
「えっ?」
顔を上げると、パンをのせたお皿を持ったパパが、心配そうに眉を下げてのぞいてきた。
「どうした? 具合……悪い?」
あわてて「違う違う」と両手を振って、皿を受け取る。
「眠くてぼーっとしてただけだよ。早くご飯食べよっ。お腹空いた!」
いつもと変わらない笑顔で答えると、パパは安心したように微笑み、ふたり向かい合って、少しこげたパンをほうばった。