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＃１　転校生

「こんにちわ—!!テニス大好きな中学生です!アリスって呼んでね!!!!」

青春学園の一年教室。
突拍子な自己紹介から始まった謎の少女。
名前等は一切知らない。
知っているのは、女ということとテニスが好きだと言うことと——・・・
皆から“アリス”と呼んで貰うコト。
その少女は姓として“柏木”とつけても良いと言ったが、実際アリスと呼んで貰いたそうだ。

「質問—!何でアリスなんですか?」

名前を言わないことに違和感を懐いたものの、聞くのは野暮なようで、誰もそのことに突っ込みはしなかった。
そして先ほどの質問に自称アリスはそう答える。

「不思議の国のアリスが大好きだからで—っす!!」

その少女はあまりにも無垢で白くて——・・・・・・
そんな少女、アリス。
名前の由来は不思議の国のアリスが好きだからだけではない。
不思議の国のアリスがいろんな所に行くように
自称アリスもいろんな所に“心”が行くから

「じゃあ、柏木さんの席はそこです」

さされた席は、後から二列目の一番窓際。
二列目とはいえ、後には人が居ないことから一列目ともいえる。
隣の列より人数が一人少ないから。
アリスは席に着くと鞄を下ろして教科書等を出し始める。
鼻歌交じりに作業をしている姿をほとんどの人がじーっと見詰める。
そんな視線に気づいたアリスは。

「はれ?みんな再開してていいよ—?」

にぱ。と笑ってアリスは作業を再開する。
先生は、「あ、ああ。」といってホームルームを再開する。
皆はアリスとすぐに打ち解けられそうだった。

—————そう、“表”のアリスとならば。

このアリスが仮面を被って居るだなんて。
誰も想いはしなかった。