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—プロローグ—


血の匂いが充満していた。
俺はボロボロの姿で足を引きずりながら歩く。

「ッハァ、ハァッ・・・」

肩を抑えながら、たどり着いたのは、壁。
涙なんて頬からは流れ落ちない。
もう、枯れてしまったのだから。


(何人、人を殺したんだろうな)


俺は独り言を思う。
顔をゆがめて、肩から血を流しながら歩いた。
何度も何度も体をいたぶられて———。
体中も、心さえもボロボロだった。

「・・・ッ」

裏切りと言う行為には慣れていると言うのに。


(心が、痛む)


「帰らないと・・・」


(約束、したんだ)


——ジャキッ


「へへっ・・・コレでおしまいだ、境界」
「・・・」

俺はゆっくりと後ろを見た。
引き金を男は引いた。
俺の意識はシャットダウンした。

命が消える感覚を———味わった。





(目を閉じれば、今まで殺して来た奴等が浮かんだ)