二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.1 )
- 日時: 2010/08/28 16:25
- 名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: Amc8WCDv)
第一話 「黒田エリ」 風丸視点
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だいじょうぶ? と聞かれた。アルトで。
*
学校の帰り道。
俺の家は、坂道の上にある。
上りも下りも楽じゃない、この急な坂道を、いつものように上っていく。
そんな時、目の前に現れたのは、茶髪の少女だ。
蒼いワンピースに、長いぼさぼさの髪の毛の少女。
その子は俺に向かって笑いかけた。
一年生くらいの女の子は、笑いながら信じられないほど素早く、軽やかに坂道を駆けていく。時折振り返り、早くおいでよ、とでも言う風に目を煌かせる。
俺は走り出した。
元陸上部である俺、風丸一郎太の自慢、それがこの足。
風のように速いと称されたこの足。負けてたまるか!闘志を燃やし、スピードをあげる。
よし、あと少しで追いつく。
思わず口元に笑みが浮かんだその瞬間、
——女の子が消えた。
勢いあまって思わず転ぶ。痛い。
石ころや砂利がたくさんあるコンクリートの地面。
足から、顎から血が流れ、掌が焼いたように厚い。
足を抱える。激痛に襲われて、思わず泣きそうになる。
滲んだ視界に映ったのは、足だった。
白と水色の、ナイケのスニーカーを履いた、少し大きくてほっそりとした足。
短い白の靴下を履いている。
「風丸くん?」
見上げると、見慣れたクラスメートの姿がそこにあった。
短いが豊かな黒髪、大きく黒い目。日焼けした肌、少し猫背気味だけど高い背。着ているのは間違いなく雷門校の制服だ。
「黒田……さん?」
黒田さんは俺の状態を見て顔を真っ青にし、俺をなんとか起き上がらせようとしながら質問を浴びさせた。
「大丈夫? 痛い? ごめん、私絆創膏嫌いだから持たない主義なんだ! ってか病院いったほうがいい? それとも家に送ったほうがいい? うわぁぁぁあああ、誰か来てぇ!」
俺がなんとか立ち上がると、黒田さんは俺を抱きしめた。うわぁぁ、なにするんだよ!
黒田さんは俺を抱えあげたのだ。そして必死で坂道をあがる。よろよろふらふらしながら、かなり遅く。
「うわ、下ろせ! いや、大丈夫、自分で帰れるから! 重いだろ? 絶対おもいだろ!?」
と言っても聞かず、精一杯力を振り絞って坂道を登り終え、「家、どこなの? どう歩いたらいいの?」と聞き出す始末。
最終的には教えてしまって、黒田さんはふらふらよろよろしながら俺を家まで送って、玄関で下ろして、インターホンを下ろす。
『どなたですか?』
「風丸くんのクラスメートの黒田エリです!」
どのくらいかして、ドアを開けたのは母さんだった。
俺と同じ色の髪を垂らして、怪我をした俺を見て、大丈夫? と聞いた後、黒田さんに礼を言うと、いいですもうかえりますと言う黒田さんと俺を家の中に引きずり込んだ。
で、俺が怪我の手当てをして貰っている間に、黒田さんはお茶を飲み終え、最後におだいじにと言いながら家を出て行った。
俺は黒田さんのことを、たんなる明るいクラスメートとしてしか見ていなかったが、今回の事件の後から、俺は黒田さんのことを少しだけ、意識するようになった。
*
風丸くんのクラスメートの黒田エリです
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