二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 俺のオトシモノ——。 【REBORN】 ( No.4 )
- 日時: 2010/09/06 20:33
- 名前: 人間不信 (ID: uT5MQLCg)
「俺は、大切な物を守れなった。だから———」
—Data,02— 守りたい物
「コレ、何?」
「・・・」
そういい少年が出してきたのは写真。
ソレは数年前の物で、俺にとっては嫌な思い出の写真だった。
「・・・」
俺は少年の目を見る。
(この目は話さないと信じないって目だな・・・)
俺は頭をガシガシとかき回して、少年に向き合った。
「昔に、な。記憶喪失の患者を俺は担当してたんだ」
「記憶喪失・・・」
「あぁ。ソイツ、記憶が全く無い故に、カニバリズムっつー精神病を負ってたんだ」
「・・・人食い・・・」
「(知らなくていい物を知ってるんだな、コイツは)」
俺はハァッと溜息を吐いて少年を膝の上に座らせた。
「それで俺も喰われそうになったんだよ」
「平気だったの?」
「まぁな。アイツ、結局は寂しがり屋だったんだよ。只、それだけの事だ。その写真の割れている部分は、ソイツが壊した所為で今は見えない」
「・・・」
少年はソッと俺に、写真を返した。
俺は立ち上がって少年の手を握る。
「明日、一緒に出かけるか。休みなんだよ。行くか?」
「・・・行く。普通の民家を知りたいから」
(何て理由だよ・・・)
俺は苦笑する。
「沢田、綱吉」
「ン?」
「ソレが、俺の名前」
そういって俺を見上げた。
俺はフフッと笑って、綱吉の頭を撫でた。
「《綱吉》。明日一緒に行こうな。早く寝よう」
「・・・ん」
綱吉は、ベッドにもぐりこむと目を閉じて寝てしまっていた。
俺は写真立てを、ゆっくりと戻して綱吉の隣に座った。
「・・・綱吉、お前には言ってなかったんだけど、本当はそれだけじゃねぇんだよ・・・」
『大好きだよ』
俺は額に手を当てて、頬に涙をつたらせた。
◆
俺はおきていた。
辛そうな刹那の声を聞きながら、俺は目を閉じる。
『助けられなかった』
『化け物がッ!』
非道な声。
全てが伝わってきて、嫌だった。
人が死ぬ事を直感して、嫌だった。
毎日毎日飽きるまで泣いた。
枯れるまで泣いて、それは刹那と出会う前まではもう、出ないほどに枯れていた。
「・・・ッ」
泣いているのが判った。
蒼崎刹那は強い。
強すぎるが故に、弱さはまるで無かった。
(人の前で泣かないと決めた、)
俺は、弱い。
- Re: 俺のオトシモノ——。 【REBORN】 ( No.5 )
- 日時: 2010/09/06 21:19
- 名前: 人間不信 (ID: uT5MQLCg)
次の朝の事だった。
俺が私宅をして起きていると、綱吉が起きた。
「おはよう」
俺がそういってニコッと笑って見せると、綱吉は少し困ったような表情になる。
俺に近づいて、そっと俺の手を握ってきた。
「?」
「・・・」
「じゃあ、ま、行くか」
「うん」
で、玄関の扉を開けて。
完全に固まった。
「・・・なんっ・・・」
「蒼崎刹那さん、お久し振りですね」
ソコに立っていたのは、思い出したくも無い過去の彼。
ガタガタと体が震え始める。
「四年前は、有難うございました」
そういってニコッと笑ってみせる男。
◆
見知らぬ男が刹那の前に立っていた。
刹那の様子が可笑しくなる。
手は振るえ、まるで恐怖に駆られているような目で男を見ていた。
ニィッと男が笑う。
「・・・ん?」
「・・・ッ綱吉・・・」
俺は体が先に動いていた。
男と刹那の間に立ちはだかり、キッと男を見る。
(今までこんな無謀、したこと無かったのに)
俺は持参していたグローブを嵌めた。
「この子が新しい患者ですか?」
「この子は患者じゃない・・・!」
(患者・・・?まさか、あの写真の・・・)
部分的に壊れてはいたが、一致していた。
庇う様に今度は俺の前に立ちはだかる刹那。
男が舌なめずりをして、刹那の指に噛み付く。
痛いらしく、顔を歪めた刹那はバッと飛び退いた。
指の肉が、食われていた。
(カニバリズム・・・!)
「お前を治すことは出来なかった・・・だけど、お前を救う事をしたかったんだ・・・」
「まだきれいごと言うんですか?」
「綺麗ごとじゃない。刹那は、綺麗ごとなんて言ってない」
俺がそういうと男は笑い出す。
「何を根拠に・・・」
「俺の勘は百パー当たる。それだけで十分だ」
そういうと男は笑止する。
「ソレがキミのアブノーマルね・・・」
そういうと男はクルッと後ろを向いた。
「やぁめた。俺もう帰る」
そういって帰ろうとする男に、刹那は叫んだ。
「何時でも、戻って来いよ」
立ち止まった男は、ぼそりと呟いた。
「全く・・・毒気を抜かれる」
◆
「やっと辿り着いたぞ。此処が並盛商店街だ」
にぎやかな商店街に辿り着いたとき、綱吉はきらきらした目で子供らしい姿を見せた。
「じゃあまずは服屋に行くか」
俺がそういうと綱吉は着いてくる。
——色々と買い物をした後、綱吉にアイスを買った。
一緒に食べ歩いていると、綱吉が俺の手を握ってヘラッと笑ってきた。
「刹那、俺、刹那を守るからね」
俺はそんな綱吉の顔を見て、俺も笑う。
「俺も、絶対に今度は守るから」
(小さな二つの覚悟)