二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第1話 池袋と都市伝説 ( No.5 )
- 日時: 2010/09/26 19:06
- 名前: 日向 (ID: /SWK1WU/)
東京都豊島区池袋。新宿、渋谷に続く三大副都心の一つである場所があたしの新たなる旅立ち。
池袋駅東武東上線東口。あたし、豊崎日向は高校進学と同時にこの池袋に上京してきた。
人、人、人でごった返す駅のホームでヒソヒソと内緒話が耳に入ってくる。
「ねえ、あの子。茶髪だよ、しかも長い」
「染めてるのかな?目も茶色だし」
推測で語られる話にあたしはため息をついた。
あたしの容姿は、今は亡き祖母がロシア人で、その髪と瞳を先祖返りとして受け継いだもの。
地元でも容姿に質問する子は多かったが、その地元の子たちはいない此処では珍しくなっても仕方がないのだろう。
「さてと、どうしようかな……」
今の時刻は午後六時。外に行っても珍獣扱いされるので気は進まないが行くしかない。そう思った時。
「うわ、す、すみませ…わっ!ごめんな…さいっ!!」
「…ん?」
間抜けな声が聞こえたので振り返ると、柱を背に尻餅をついた少年が「…帰りたい…」とぽつりと呟いていた。
本来なら無視するが、あたしは自分が認めるほどのお人好しだ。ため息をつきながら少年の傍まで近づく。
あたしの影に気付いた少年は驚いた顔で上を向く。その顔を見たあたしはそのまま手を差し伸べる。
「大丈夫?立てる?」
「あ、うん…ありがとう」
差し伸べた手を掴んだ少年の腕を自分の方へ引っ張らせ立たせる。立ち上がった所であたしは少年の手を放す。
「災難だったね。ここ、人多いから」
「そ、そうだね。…えっと…」
「ああ、ごめんね。あたし、豊崎日向。今日からここに住むことになったの、よろしく」
「あ、うん。僕は竜ヶ峰帝人。僕も君と同じでこの池袋に来たんだ」
「そっか、よろしくね帝人くん」
「こちらこそ」
軽く自己紹介をしたあたし達に軽い声が聞こえた。
「よっ、ミカド」
その声にあたしと帝人くんは振り向く。そこには金色の近い茶髪をした少年が現れた。
「よっ」
「わぁ!紀…」
帝人くんがそう呼ぼうとしたが、
「紀田〜…君?」
「疑問系かよ!ならば応えよう、三択で選べよ!①紀田正臣②紀田正臣③紀田正臣!!」
スリーピースした手が帝人くんの前に突き出す。すると、帝人くんは少年の手を握り締める。
「わああ!!紀田君!紀田君なの!?全然変わってるからびっくりしたよ———」
「俺、渾身のネタはスルーか…」
どうやら、この2人は幼馴染らしい。少年はあたしの事に気付いたのか帝人くんの頬を指で突き始めた。
「何だよ、帝人。なんでお前のとこにこんな可愛いレディがいるんだよ?まさか、抜け駆けか!?」
「違うよ!僕が転んだのを助けてもらっただけだよ」
帝人くんの説明に納得した少年はあたしに話しかけてくる。
「どうも、帝人の幼馴染の紀田正臣です。紀田くん、正臣、どっちでも呼んでもいいから」
「初めまして、豊崎日向です。日向でいいよ。よろしくね、紀田くん」
「OK!じゃあ、俺たちと一緒に池袋にいかね?」
「え?」
「き、紀田くん!豊崎さんに迷惑だよ」
「何言ってんだよ!日向だって新たな池袋人になる人間なんだぞ。ここは、親交深めようぜ!」
「そう言っても…。あの、豊崎さん。迷惑じゃなきゃいいんだけど…僕たちと一緒に行く?」
オドオドした口調で言う帝人くんにあたしは笑いかけた。
「いいよ。どうせ、外に行くんだし」
そう言うと、紀田くんはニッと少年らしさがある笑顔で言う。
「よっし!じゃあ、さっそく池袋へレッツゴー!!」
紀田くんの明るい掛け声にあたし達3人は池袋の街へと歩みだした———。