二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: テガミバチ +*ヒカリの少女*+ ( No.10 )
日時: 2010/10/07 14:59
名前: 唖柚李 (ID: 8hgpVngW)

※今回出てくるディクラブルクという街は本当は無いです。
 すみません!!僕が勝手に作りました!!←

+*+*+*

「今回は結構遠いなぁ・・・」

てか、何処ですか、此処は。えーっと、ディ・・・クラ・・・ブルク?
差出人はリドラー・・・受取人はラムナ・・・。
何十キールも歩いてやっとのこと、ディクラブルクの街が見えてきた。
でも、ラムナさんの家は確か街の手前にある小さなお家。
あった、此処だね。古くて、錆びれてているけれど・・・人の温もりが、小さく灯る家だ。
僕はドアをノックして静かに、ハキハキ言う。

「すみません、『BEE』です。『テガミ』を届けに来ました。・・・ラムナさん、居ますか?」

ドアが開くと、中から十にも満たないくらいの小さな女の子が出てきた。
金髪のツインテールに、緑の瞳。とても優しそうな女の子だ。

「・・・ラムナさん・・・かな?」
「『テガミ』・・・いらないの・・・。帰って下さいなの・・・。」
「・・・どうして受け取ってくれないのかな?理由・・・言える?」
「この『テガミ』の差出人の子・・・リドラーちゃんはいじめっ子なの・・・。
 私はリドラーちゃんに苛められてて・・・だから・・・その『テガミ』の中はきっと・・・嫌な事ばかりなんでしょう?」

・・・ふむ・・・。『テガミ』が嫌い・・・なのかな。
でも、このリドラーって子が出した『テガミ』からは・・・そんな想いは感じ取れない。
この『テガミ』は苛める為じゃなくて・・・伝える為・・・っ!!

「ラムナさん・・・リドラーさんのトコ、行こうか。」
「え・・・っ!?嫌・・・っ、だって、苛めるの・・・!!」
「ホラ、行こ、行こ。大丈夫だよ。僕がついてるからさ。」

僕はラムナさんの手のひらを握ってリドラーさんの家へと駆け出した。

+*+*+*

「すみませ—ん。リドラーさん居ますか—!?」
「はいは—い!!ウチがリドラーですが何でしょう・・・!?なっ・・・ラムナ・・・!?」
「・・・。」

ラムナさんは視線を外して俯く。
沈黙を破ったのは、他でもない、僕だった。

「ね、リドラーさん。ラムナさんに宛てた『テガミ』、読んでみてくれるかな?」
「い・・・嫌やっ!!だって・・・は・・・恥ずかしいやんか・・・っ!!」
「じゃ、僕が読ませてもらってもいいかな?」
「・・・ぅ・・・。ま、まあええわ、許したるわ・・・。」

僕は『空っぽ』の笑顔でリドラーさんに微笑みかけた。
嗚呼、恥ずかしいなぁ・・・。

「え—っと。
 “ラムナへ
  何で『テガミ』の返事くれへんの。ウチの事、嫌いなんは分かるけど返事くらい出してくれんとウチ、困るわ。ウチは人の『こころ』が読める訳やないんやから・・・。ほんまに、返事ちょーだい。何度でも待つから。ごめんな。リドラー”」

・・・だってさ。
ま、真相は本人に聞かなきゃね。

「本当はラムナさんの事はどう思ってるのかな。」
「ウ・・・ウチはただラムナと仲よ—したい気持ちを『テガミ』で伝えよ—思て。だって・・・ウチは感情表現ゆうんがほんまに苦手やから・・・っ。でも、返事もこなくて・・・ほんで、ウチの『こころ』が踏みにじられた思て、腹が立って、感情が抑えられんくて・・・諦めずに何回も出したろ思て・・・でも、一回も返事が来ないんやもん・・・ほんで・・・」
「・・・苛めちゃった、と。」
「・・・そうや・・・。」

どちらも悲しい子だね・・・。
『テガミ』の内容を勘違いしちゃってたり、人の『こころ』を勘違いしちゃってたり・・・。
あ——もうっ!!ややこしいな!!

「そういえばさ・・・『テガミ』って知ってる?」
「は?コレやんか、コ・レ。アンタ『BEE』やのにそんなんも知らんの?」
「じゃー・・・コレとコレ、どっちが『テガミ』か分かる?」

僕は今、ラムナさん宛てに配達した『テガミ』と、僕が今、書いたテガミを見せた。

「え—っと・・・“おなかすいた”・・・なめとんのか、アンタ!!」
「なめてな—いよ。」
「え・・・っと、こっちが『テガミ』・・・だと思うの・・・。」
「・・・正解!!そう、こっちには『こころ』がこもってないんだ。こっちには仲良くしたいっていう『こころ』がこもってるでしょ?」

この世に無駄な『テガミ』はない?

「ね、ラムナさん、リドナーさん。」
「何や?」
「はいなの・・・。」
「この世に無駄な『テガミ』はあると思う・・・?」
「はっ!!無いにきまっとるやろ!!」
「私は・・・あると思うの・・・。」

僕は、微笑む。
嗚呼、どうしてこんなに・・・泣きたくなるんだろう。

「何や・・・アンタよう分からんわ。急に『テガミ』を知っとるかって聞くし、無駄な『テガミ』はあるかって聞くし。」
「フフッ・・・そうかな。」
「・・・あっ!!アンタ笑えるやん!!ずっとそうしときーや。そのほうがかわええわ!!」
「え・・・?」

僕、今、笑った・・・?
『空っぽ』じゃなくて、自然に、『こころ』の底から、笑えてた・・・!?

「僕・・・人間・・・?」
「当たり前やん!!アンタ・・・おかしいやっちゃなー・・・。あっ!!」
「どうしたの?何か用事?」
「どないしよー!!今までラムナに出した『テガミ』も見てもらいたかったんやけど・・・っ。
 どないしよー!!なぁなぁ、とってあるんかな!?」
「うん、凍結物件にあると思う。とってきてあげるから此処で待ってて。」
「ほんま!?えかったー!!馬車とかに轢かれんようにね!!」
「轢かれません!!」

手を振って、別れた。
その後、凍結物件の中からラムナさん宛ての『テガミ』を全部取って来た。
取って来た後で、リドラーさんのお家でご飯をご一緒させてもらった。
この日は、久しぶりに人の温かさに浸ったような気がした。
『空っぽ』の『こころ』で、沢山笑った日だった。