二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: REBORN! lacrima-涙- ( No.10 )
日時: 2010/11/29 18:32
名前: 霧氷 ◆vll3drelnA (ID: GgxfwrUK)

第一弾「虚空」

「・・・で、まんまと逃がした訳か」

長い銀髪の男———ヴァリアー幹部及び作戦隊長のS・スクアーロは苦い顔をして言った。
頷いたのはひとまわり小さい赤ん坊———ヴァリアーの幹部の1人でもあり、最強の赤んアルコバレーノでもあるマーモン(バイパー)だ。

「半分が即死、半分は責任を感じて自害———そして“彼女”は逃走。まったく、使えないよね」
「まァ下っ端の下っ端だし、しょうがねーんじゃねーの?」

ししっ、と笑いながら金髪の(上に小さな王冠を乗っけた)少年———ベルフェゴール(通称ベル)が言う。
するといかにもオカマ・・・いや、ニューハーフっぽい男———ルッスーリアがスクアーロに訊ねる。

「どうするのぉ?ボスが知ったら怒るわよぉ〜〜〜〜・・・?」
「んなこたぁ分かってんだよこのオカマ野郎がぁ!!!」

スクアーロはキッ、と睨みながら言う。
「まァ怖い」とルッスーリアは悪態をつく。
すると突然ドアがバッカアアン!と蹴り飛び、スクアーロを襲う。

「う゛おおおおおおおおおいいい!!??」

間一髪避け、ドアはスクアーロに当たらず後ろの棚にぶつかった。
放心状態で倒れているスクアーロの頭にぴょこんとマーモンが乗り、ドアの飛んできた方向を見る。

「・・・ボスにレヴィ」
「んだとぉ!?」

マーモンを乗せたまま器用にスクアーロは上半身を起こした。
するとそこには案の定、ヴァリアーのボスXANXUSとレヴィ・ア・タンが立っていた。
XANXUSはいつものように不機嫌そうだ。
しかし、怒っている、まではいかない表情だ。
レヴィは倒れているスクアーロを見てニヤニヤと笑っている。
そんなレヴィに気がついたのか、XANXUSはレヴィの顔面に裏拳うらけんをぶちかます。
そのままレヴィが引っくり返り、ルッスーリアがそれを処理したのは言うまでもないだろう。
スクアーロはXANXUSを睨みつけた。

「危ねぇだろぉがぁ!!」
「カスザメがその程度で死ぬ訳ねぇだろ」
「んだと!?」

今にも殴りかかりそうなスクアーロをマーモンが宥める。

「今は内争してる場合じゃないだろ、スクアーロ。・・・それで、どうするつもり?」

マーモンがXANXUSを見る。
XANXUSは淡々と告げた。

「アイツはキャバッローネに身を隠した」
「何!?」
「アイツはまだカスだ。強くなってから奪いに行く。キャバッローネも育てる事ぐらいは出来るだろ」
「でも、」
「何度も同じ事は言わせねぇぞ!」

反論しようとしたマーモンを睨みつけ、XANXUSはスタスタと去っていく。
マーモンははぁ、とため息をついた。

「あの子は凄い逸材だと思うんだけどなぁ」
「・・・手前てめえ、いつまで頭に乗ってんだぁ!」

スクアーロがマーモンを掴もうとしたが、ヒラリとマーモンはかわし、すぽんとベルの腕の中に納まる。

「隊長ー、キレまくってたら血管も切れるぜー?」
「うるせぇ!ベル!!」

馬鹿にしてきたベルにスクアーロは噛み付く。

「・・・彼女は、僕らに無い物を持っているのに、あっさりキャバッローネなんかに渡しちゃっていいのかい?」

マーモンの言葉に、スクアーロは仰々しく言ってみせた。

「さぁなぁ。・・・責任はXANXUSがとるだろ。俺達は命令を待つだけだ」
「・・・そうねぇ。勝手に動いちゃ怒られちゃうし」
「その前にウっざい不細工ヤローがぎゃあぎゃあうるせーだろ」

しし、と笑うベル。
マーモンはぺらぺらと書類を捲る。
どこから取り出したのであろうか。
あるページで、マーモンは手を止める。
そこには———、

「・・・やっぱり、彼女を手放すべきではないよ」


ー——“海月虚空”という、名前が刻まれていた。