二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【Dgray-man】-鍵の少女- ( No.141 )
- 日時: 2011/01/09 17:57
- 名前: 花影 ◆wNp4n0Oqx2 (ID: EHM01iHp)
「誰だ?!」
神田が声を荒げる。
しかし、黒髪の女は静かに微笑むだけ。
「お前は誰だ」
今度は声を荒げずに神田は問うた。
女は微笑み──
「ううん?君たちと殺り合うつもりはないですよ?ただ…」
「ただ?」
神田の機嫌が悪くなっていくのが分かる。
「アレン君を見にきただけです?」
「僕ですか?」
アレンは怪訝な顔で呟いた。
「そうだよ?…ん?」
女の興味はアレンの隣──レイナに移った。
「そっちなんだね〜…?」
小さく女は苦笑してみせる。嘲笑うかのように。
「界蟲一幻!!」
声が響いた。神田の声だ。
六幻からとび出した蟲が女を襲う。
──はずだった。
蟲が飛び出した直後、付近にあった瓦礫が女の前に盾になる。
「なっ…?!」
神田の声と蟲が瓦礫にぶつかるのは、ほぼ同時だった。
白い砂埃が立つ。
そして砂埃の向こうには影が『三つ』。
「YouのせいでMeは疲れたんだけど」
「フェルナ何やってるん」
また、聞き覚えのない声が響いた。
「ん?ちょっと見に来たんだよ?」
「なにを?」
「アレン君?」
まだ砂埃が立っていて、姿は見えない。
「千年公と神樹がうるさいんや」
「というか、Me眠いんだ。早く帰らないか?」
「季更ちゃんは変わんないね〜?」
「そう簡単に変わっても、怖いやろ」
ようやく砂埃が収まり、姿が見えてきた。
一人はセミロングの11歳ほどの少女。
もう一人は、肩までかかるかかからないかの水色の髪に、藍色の瞳の女。
しかし、女といっても背は高かった。
「やっぱ、伯爵さん怒ってます?」
「Yuoのせいで千年公かんかんだよ」
フェルナは大袈裟に肩を落とす。
正直言って、千年伯爵を怒らせるほど怖いことはないのだ。
「あの…?」
事態を飲み込めないアレンから、抗議の言葉がもれた。
「貴方たちは?」
そんなアレンを、彼女たちは冷ややかに見つめ返す。
「ノアの一族…」
ポツリとレイナが言った。
「千年伯爵の仲間…。いや、兄弟といったほうがいい?」
フェルナを見るその瞳は、冷酷で闇を見ているようだ。
「私たちの敵だよ。アレン」
言ったレイナを見て、彗が呟く。
「彼女なの?フェルナ」
「んー?まだ微妙ですねー?」
またまた小さく言うフェルナ。
ツンツンと季更がフェルナと彗をつついた。
目を擦っている。どうやら帰りたいようだ。
「フェルナ、帰ろうや」
彗もフェルナを促がす。
「じゃ、ちょっと待ってね?」
フェルナが言うと、『人形』が浮いた。
「「「「なっ?!」」」」
アレンたちの声が重なる。
「イノセンスは貰ってくね?」
『人形』から緑に輝く物質が取り出される。
「じゃあね?」
言葉がアレンたちに届くころには、彼女たちの姿はなかった。