二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: [[遊戯王]] 決闘者の道を歩む者 ( No.4 )
- 日時: 2010/12/13 16:54
- 名前: 青金石@翼神竜 ◆Mw9em79sDc (ID: hgmprYrM)
—プロローグ
「っ・・・・・・!」
「お前さーあのカードゲーム会社のお偉いさんの娘なんだろ? 珍しいカード沢山持ってそーじゃねーか」
迂闊だった。初めてこの町に来たけど、野蛮な場所だとは思わなかった。
今日は厄日だ、下見に散歩していたら不良に絡まれるなんて、思いもしなかった。
三人組の男に胸倉を掴まれ、殴られそうになる。けれど私は不良の男に睨んでやった。
挑発かと思われ、こめかみに青筋を浮かべると男は胸倉から手を離す。
「言いこと思いついたぜ。お前女だしよ、暴力は振らねェが・・・デュエルだ! 一応出来んだろ? 負けたら珍しいカード全てよこしな!」
「そ・・・そんな・・・」
言い返そうと思ったけど、火に油を注ぐようなものなので止めておいた。
正直、デュエルには全然自信が無い。あまりやったことが無い。
相手は大学生か高校生くらいの人だ・・・喧嘩は強そうだから、勝ってっこない。
かといってデュエルなんて、今の私には到底無理な話だ。でも男は容赦なく・・・
「オラァッ! かかってきなァ!!」
恐喝にあっさりと負け、私はおそるおそると怯えながらデュエルをすることになった。
*
気付けば私は地べたに這い蹲っていた。そう、勝敗は・・・敗北。
不良が持つ独特な威圧感と、怖気がついて負けてしまった。負けは負け、約束というものを守らなくちゃいけない。
「っひょーっ! 見たことないカードばかりだぜェ!」
「何も言い返して来やせんね」
言い返すも何も勇気が出ないし、約束は約束だったから・・・仕方が無い、のかな。
「んじゃコレは貰っておくぜ〜後はいらねーや」
不良達は、強そうなカードと私の"一番大切な"カードを持っていってしまった。残りはいらないと、その場に投げ捨てる。
カードを拾おうと、私の身体は反射的に動くが、
「よくもまあこんなザコいカードを使えるよなァ・・・アッハハハッ!!!」
不良達は、私のカードをまるでゴミ扱いし、足でグリグリと踏み潰す。
私はあまりにもの衝撃に耐えられず、目元に涙を溜める。
酷い—私の大切なカードなのに・・・強いものだけ集める人とは違って、例えレベルが低くても必要なカードなのに・・・
心の中で叫ぶことしか出来なかった。口に出そうと心の中で繰り返すが全く口からその言葉を吐くことはできなかった。
踏み潰して行った後、不良達は背を向けて満足げな顔で帰っていく。
あーあ・・・結局何も言い返せなかった。私は何て弱いんだろう。立ち向かうことも出来ないなんて
デュエルも弱いし・・・私は弱い人間なんだな——
涙を拭い、残ったカードを拾い集めた。
—と、その時だった。
「オイ! テメェら!! 女相手に手加減もなしで、その上強いカードばかり持っていきやがって!」
私の目の前に、金髪の少年が現れた。彼は、私を庇ってくれている・・・多分。
「あぁ? 何だてめぇ・・・約束は約束だろーが。弱いんだから負けるのは当たり前なんだよ」
「それだけじゃねェ! カードに侮辱しやがって・・・・・・オイ、俺とデュエルしろ! 負けたらカードを返すんだな!」
「はんっ良いだろう! このガキが! 瞬殺してやらァ!!」
金髪少年と、不良達はお互いデュエルすることになった・・・。
「ダイレクトアタック!!」
「ぐああああぁぁああっ!!! く・・・くそぉっ・・・」
見事、黒を纏いし赤い瞳をしたドラゴンの放つ炎で、金髪少年は勝利した。
不良達は捨て言を吐いて、逃げていった。勿論、奪われたカードも置いて。
「あ・・・あの、ありがとうございました。このご恩は一生忘れません。」
「ハハッ・・・なんのなんの! 俺、見てたけどよ、お前・・・そんな弱い奴じゃねーと思うぜ。自信持てよ!」
そう言って、顔を赤くしながら去って行ってしまった。
何かお礼をしかったけど、タイミングがずれてしまったみたいなので、次に会ったら何かお礼をしようと思う。
あの人がくれた言葉、弱い奴じゃない、自信を持てという言葉が凄く響いた。
私は、あの人みたいなデュエリストを目指そう。強くて、勇敢で、自信を持ったデュエリストに——
—決闘者の道を歩む者[プロローグEND]