二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: [[遊戯王]] 決闘者の道を歩む者 ( No.9 )
日時: 2010/12/16 18:21
名前: 青金石@翼神竜 ◆Mw9em79sDc (ID: ZMeIuJbG)

第一話『再び再会』


あれから数日後—童実野町、童実野高校。通称、ドミ校


「おい、今日転校生が来るらしいぜ!」


 とあるクラスでは、今日入ってくる転校生の話題で盛り上がっている。
男子も女子も同じくらいの盛り上がりだ。その横で、少年三人と少女一人が机を囲っていた。


「転校生かぁ、どんな人だろうね。女の子かな? 男の子かな?」

「俺は美少女を願うぜ!!」

 少年—武藤 遊戯(むとう ゆうぎ)、本田 ヒロト(ほんだ ひろと)はどんな転校生かを予想する。

「噂じゃあ女の子って聞いたわよ」

 少女、真崎 杏子(まざき あんず)によると女だということが解った。
ますます想像が激しくなる本田を見て、もう一人の金髪の少年はうわ言のように静かに呟く。

「美少女といえば・・・・・・昨日」

「え?」

 金髪の少年—城之内 克也(じょうのうち かつや)の言葉を遮って、ホームルームを告げる鐘が響く。
 担任が教室に入って来ると、すぐ転校生を呼び出す。

「入って良いぞー」

 その呼びかけを聞いて、数秒後にドアを開ける音が鳴る。
姿が気になる生徒達は、一生懸命覗こうとする。
制服はスカート、少女はスタスタと歩き始め黒板の前に立ち止まる。
チョークを手にとり白い文字で自分の名前を書いた。

「初めまして、童実野高校に転校してきた、樹野原 世南(じゅのはら せな)と言います。」

 丁寧な口調と、柔らかい声で自己紹介を終えるとクラスの生徒は唖然とした顔で世南を見つめていた。

「それでは質問はホームルームが終わったらな。樹野原は・・・武藤の隣の空いた席を使いなさい。」

「はい。」

 茶色い髪と赤いリボンを靡かせて、武藤遊戯の隣の席に着席した。




 ホームルームは直ぐに終了し、鐘が鳴ると同時に世南の机に人が多く集まった。

「樹野原さん! どこから来たの!?」

「好きなものは!?」

「好きなタイプは!?」

 質問は殺到し、世南は戸惑い気味だ。常識な質問もあれば非常識な質問もある。
簡単な質問には答えるが、何か違う質問には苦笑を浮かべて困っていた。
 世南は女子にも男子にも人気があった。何せ容姿端麗で美少女・・・という方に入る。


「す、凄い人気だね・・・」

「ちょっと俺も質問してくる!」

「ほ、本田!! 行っちゃった」

 本田は世南の机へ一直線。あの集団の中に入り込んでいった。

「城之内くん、さっきから考え事してるみたいだけど」

「ん? あ、あぁ。いや・・・アイツ、どっかで見たようなってな。」

 遊戯はふーんと不思議そうな顔で城之内を見つめた。
 すると、世南は集団達の隙間から顔を覗かせ、遊戯達のいる机を赤い瞳に写す。


「あの金髪・・・・・・」

「あの赤いリボン・・・・・・」


 気付いた城之内も、世南を見つめる。
そして同時に立ち上がり、お互い指を相手に向けた。


「あ、ああ・・・あ! あの時の方ですよね?!」

「そういや! あん時の!!」


「「助けてくれた(やった)人!!」」


 二人の行動に教室は静まり返った。遊戯と杏子は口をぽかんと開けて城之内を見る。
世南は集団を抜け出し、城之内の傍に寄る。


「あの時は本当にありがとうございました。まさかこの学校だったなんて・・・」

「た、大したことじゃねーって! お前もまさかこのドミ校の転校生だったとはな」

 二人の会話は長く続いた。男子は反感を持ち始める。

「そ、その・・・名前は?」

「俺は城之内克也、んで・・・俺の親友」

 おまけのように紹介する城之内は遊戯と杏子、本田を世南に紹介した。

「初めまして、武藤遊戯です」

「真崎杏子、よろしくね」

「本田ヒロトだ、いやぁこんな美少女が城之内の知り合いだったとはな〜」

 本田は恨めしそうに城之内を見てから、笑顔で世南の両手をガシッと掴んだ。
どう反応すればいいのか分からず、世南は取りあえず笑っておいた。