二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエスト—Original—  漆黒の姫騎士  ( No.89 )
日時: 2011/03/22 20:30
名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: fckezDFm)

 レイサは、目を覚ました。真っ白というには色を成しすぎている光が、あたりを包んでいる。

———え、うっそ、あたし死んじゃったの?

 レイサはそう思った。

———何よさっきの呪文。ばしるーら? 聞いたことない。 邪消呪文_二フラム_ みたいなモノ?

 淡い光に包まれたその空間、レイサは立ち上がり、はっとした。誰かいる。
「・・・・・・?」
 だれ? 言ったつもりなのに、聞こえたのは息遣いのみ。何で? もう一度声を出した——つもりなのに、
やはり自分の声が聞こえない。声が出ない。
(ちょっとぉ、何の罰だっていうのよ・・・てか、みんな何処?)

「炎の使者レイサですね」

 “誰か”は言った。レイサは思わず目を見張る。
「いいえ、正確には、その子孫・・・炎の継承者」
 声を出せなかった口が、少し痺れる。なに? レイサは言った。——つもりではなく、声に出して。
「——あ、喋れた」
 何だったのよもう、と思い、今まで喋られなかった分、レイサはまくしたてようとした、
が、それも大人げないので(十五歳なので十分子供だが)、
「まずは二つの質問。“ここは誰?”“あなたは何処?”」
 言った後に、あれ、何か違う、と呟いた。“誰か”がくすりと笑う。レイサは数秒考えて、
(あ、ちゃ、ぎゃ、ぎゃがっ)
 ・・・取り乱す。
(ぎゃ、ぎゃ、ぎゃっ、逆だっ!! きゃぁぁぁ、恥かいたぁぁぁっ)
 自分の情けなさに気付き、瞬時に真っ赤になるレイサ。だが、“誰か”は気にした様子も見せず、律義に答えた。
「私はセルハ、天界の住民の一人」
「せるは・・・」
 あまり聞きなれない不思議な名前だ、とレイサは思い・・・セルハの言葉の後半に反応した。
「て、て、天界っ!?」
 天界って、昔話によれば、地獄の反対で、空の上で、人の光が集まる場所で、かつ死後に行く世界・・・
(やややややっぱあたし、しし、死んじゃったわけ・・・・っ!?)
 ふざけんなバシルーラのばかやろ———っ!! とかなんとか青春っぽく叫んでみたかったが・・・
何か虚しそうなのでやめる。
「そう。ここは人間の光の世界。光と闇の 間_はざま_ 、すなわちあなたたち人間が住まう地から、
最もかけ離れた神聖の地」
 なんだかさりげなく人間侮辱してない? とか思いつつ、レイサはその見えないセルハという(おそらく)女に
微妙に不機嫌さを声に乗せつつ尋ねる。
「・・・じゃあ何? あんな見るからに邪悪ー、って感じの奴のばしるーらってのでこんな光のトコ来たっていうの?」
「いいえ」セルハは光の霧の向こうで、首を横に振る。
「この地にあなたたちが存在しているのは、秘められた力を発揮したから・・・
ひとつは、光の子マイレナの内に宿されしチカラ。
もう一つは・・・あなたもかつて身に着けた、世界樹をかたどる、あの首飾り」
 レイサはぎくりとして、自分の胸のポケットを見た。世界樹をまねたようなペンダント——しかし、これは。
「・・・これ、偽物・・・よ」
 レイサは、そこではっとした。
「まさか・・・まさか! エージェがアインテルスを狙ったのは、あたしが・・・あたしが、[あれ]を持っていたから!?」
 セルハは、無言のまま、肯定を現した。


「太古の昔」
 レイサは言う。
「世界樹から生まれたと言われた者たち・・・世界樹人は、皆それぞれが不思議な能力を秘めていた・・・
彼らは、ある“偉大なこと”を成しとげ、でも、それが原因で魔族から狙われるようになった・・・
その子孫を、“世界樹人の継承者”というって・・・そして、その世界樹人の内の一人が、
あたしのずっとおじいさまだって・・・聞いたことがある」
 レイサは、唇をかんだ。


「ああ、やっぱり、そうなんだ・・・あたし、その継承者なんだ」







     Chess(長いので云々。この話、かなりややこしいので、後日分かりやすく説明するコーナーをつくりやす。