二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 魔法学校の留学生 【ハリー・ポッター】 ( No.2 )
日時: 2010/12/24 14:33
名前: 由紀 ◆y/0mih5ccU (ID: MvDA3keJ)

藍猫様

ハリポタいいですよね!!
シリアス・ダークですか!!また遊びに行きます^^*
ありがとうございます★頑張ります!!!

  【序章】

 それは唐突の出来事だった。
 青く澄んだ空。白く大きな入道雲。太陽が明るく地を照らす本日は、とても心地が良い。
 緑の屋根に、クリーム色の小さな家。周りには花がたくさん植えてある。その家の扉の前に、一人の少年が立っていた。
 黒い耳下くらいまでの髪に、黒い瞳。顔立ちはかなり整っており、体も細い。一見少女にも見える可愛らしい顔立ちをしているが、よくよく見れば少年である。

「…何だこれ……」

 少年の手には一つの封筒がある。訝しげに少年はそれを見つめながら、息を吐いた。そこに書いてある宛名をよむ。


「リミー州 サリスト・ドレーアル
 ラストライト通り二番地
 小波 蓮(さざなみ れん)様………」

 夏休みという事で外国にある祖父母の家にやってきていた蓮はそれを見て目を丸くした。
 祖父母の家の住所など誰にも教えていないはずだ。ましてや、自分がこちらに来ていることなど、親友の『小北 剛(おきた つよし)』くらいにしか言っていないのだ。なのになぜ、ここに自分宛ての手紙が来るのだろうか。
 疑問を抱えながらも、蓮はその封筒を裏返したりしていた。そこに載っていたのは、不思議な紋章だった。真ん中に“H”が書かれていて、その周りにライオン、鷲、穴熊、蛇というおかしな動物がかかれている。


「……変なの。とりあえずばあちゃんとじいちゃんに言ってみるか」

 蓮は踵を返すと、家の中に戻った。
 キッチンからは食をそそる匂いが漂ってきている。祖母が何かを焼いているのだろう。祖父は椅子に座って、コーヒーを飲みながら新聞を読んでいる。蓮が戻ると、二人とも蓮の方に顔を向けた。
 

「蓮……、どうしたの? そんなすっとぼけた顔をして」

 真顔でそんな事を言ってくるのは、祖母のサイラン・フォーリー。優しく豊かな顔をしており、皺が増えて老けたのが丸見えでもそこだけは決して変わらない所だ。黒いエプロンをして、卵を焼きながら聞いてくる。こげ茶色をしたお団子の髪が印象的だ。瞳はきれいな赤だ。
 蓮は手に持っていた封筒を二人に見せた。瞬間、サイランは火を止めると、瞬間移動並みの速さで蓮に近寄った。祖父も新聞を机の上に置いて蓮の傍による。


「へぇー……蓮。これは“ホグワーツ魔法魔術学校”からの手紙だね。開けてごらん」

 優しげに声をかけてくれる祖父の髪は銀だ。緑色の瞳をしていて、その表情豊かな顔と同時に、性格も本当に優しい。ドルマン・フォーリーとサイラン・フォーリーのダッグは、『優しき夫婦』と呼ばれているらしい。
 蓮は頷き、封を切った。入っていた羊皮紙を取り出すと、それを祖母が取って、ゆっくりと丁寧に、蓮が聞き取りやすいように読み始めた。


「『ホグワーツ魔法魔術学校。校長 アルバス・ダンブルドア
  親愛なる小波殿 このたびホグワーツ魔法魔術学校にめでたく入学を許可されましたこと、心よりお喜び申し上げます』」

 読み始めたサイランは時々目を細めたりしている。その表情がうっすらと笑みに溢れている事に、サイランは気づいていないだろう。


「——、『新学期は九月一日に始まります。ふくろう便でのお返事、心待ちにしております。   敬具 副校長ミネルバ・マクゴナガル』……だってさ」

 困惑している蓮に、サイランとドルマンは同時に笑ってしまった。
 ドルマンは蓮の頭をくしゃくしゃとなでると、微笑みながら手紙を蓮の目の前に出して、見せつけた。


「良かったな、蓮。おじいちゃん達と同じ学校に行けるんだぞ? お母さんとお父さんには電話しとくからな」
「こらこらドルマン。蓮ってば困惑してるよ。私がらん靖春やすはるに電話してくるから、あんたは蓮にホグワーツを説明してあげてよ」

 微笑みながらサイランは電話の元に向かっていく。受話器を手にとると、ダイヤルを回した。
 ドルマンは微笑んで、人さし指を出すと、真顔で説明を始めた。


「いいか? ホグワーツ魔法魔術学校って言うのは——……」

 長々とした説明を蓮が聞いているとき、サイランは上機嫌で蓮の母親の藍と話していた。


「あんたは私の血を引き継いだけど魔法の才能はなかった。だけど、なぜだかその魔法の才能は蓮に行っちゃった様ね。ま、出来の良いあの蓮の事だしね、すぐにホグワーツには慣れるだろうけどね」

『お母さん? お願いだから蓮を安全に暮らさせて下さいね? あの子は平和を望んでいるんですから』

「わーってる。そんじゃあね、藍。あ、そうだ。蓮の様子を見に来てあげな。新学期の九月一日までにはまだまだ時間があるんだからさ」

『分かったわ。じゃあ、蓮をよろしくね』

 プツリと切れた回線を確かめて、サイランは受話器を置いた。
 そして、ドルマンにみっちり魔法の事を教えられている蓮を見た。かなり頭が良い蓮はすぐに全てを頭の中に入れるだろう。サイランはクスリと笑う。


「さて、と。蓮のホグワーツ生活……、いえ、留学生活の準備をしないとね」


 どこか楽しげに、サイランは呟いたのだった。