二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 心霊探偵 八雲 ( No.2 )
日時: 2011/01/28 16:56
名前: 凪 (ID: ObYAgmLo)

1

六月。
もう夏は近いというのに、イライラした日は続いた。暑くもないし、寒くもない。こんなのが一カ月続くと思うと、だるくてしょうがない。

「…っ」

晴香は『映画研究同好会』というプレ—トを見て確認するとドアを開けた。

ドアを開けるとすぐ、ソファアでくつろいでいる男がいた。男は、いまにも眠ってしまいそうな目で朝刊を読んでいる。

次第に晴香の存在に気付いたのか、不機嫌そうな目で晴香を見た。

「何よ、八雲君。その目は」

晴香は、男、いや八雲をキツイ目で睨んだ。そういえば、この男、いつも晴香を睨んでいるような気がするのだが—。
いや、後藤という刑事にもだ。

「また君か、と思っただけだ」

八雲は、スラッと言う。

「なっ!?」

…思っただけなら言わなきゃいいものを。でも、こんなこと言っても
こう言われてしまうだろう。

—『君が聞いてきたんだろう』と。いちいち八雲に反論していたら自分の体がもちやしない。

晴香は、とりあえず無視して八雲が座っているソファアの後ろにまわって朝刊の一番大きい見出しを見た。

『マンション全焼 放火か?』

その記事には見出しどおり、マンションがまる焦げになっている写真があった。それにしても、写真に写っているのは4階建てのマンション。
それにしても、こんな大きい建物を全焼させるのは可能なのだろうか。
横に10部屋ぐらいある。
でも、晴香はこんな記事は見たことがなかった。テレビでも見ていない。こんな大きい見出しなら、ニュ—スになってもおかしくないと思うのだが。
これは一体…

「これ、いつの新聞?」

思い切って聞いてみる。

「2か月前」

晴香は、この言葉を聞いた瞬間、引きそうだった。2か月前の新聞の新聞を読んでいる人がいるなんて思ってもいなかったからだ。
でも当の本人は普通にその新聞を読んでいる。

「ハァ…」

八雲がここまでとは。あきれてしょうがない。



だが、晴香と八雲は、このマンションにこれから関わるなんて思ってもいなかった。