二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 悪ノ娘〜Gemini in heaven of heel〜 ( No.2 )
日時: 2011/09/01 16:08
名前: 荒音 ◆Uww.V3pkVM (ID: GRSwxM1g)
参照: jは荒音です。



あら、おやつの時間だわ

+ カリン 〜ルキファルナ王宮 バルコニーにて〜
——ゴーン ゴーン——
 教会の鐘がとっておきの時間を知らせた。あら、もう三時?わざと、大きな声でいった。召使に聞こえるように。ま、いくら、あたしのルキファルナ王宮が広いからって、バルコニーから声が聞こえないことはないでしょう。
 どうかしら。
——おじぎしてる召使がいるわ。
 どうも、きこえたみたいね。
 召使がこちらにやってくる。金髪の若い召使だ。後ろで髪を結ってる。たしか、名前は——何だったかしら。思い出せん……。
 レ、まで来てるのだけれど。あれ、アで始まった気もする……。
 ……うーん?
「今日のおやつは——」
 何かしら?あたしは、王女としての振る舞いも忘れて、椅子から身を乗り出した。
「ローロ・ラドーでございます。」
 わあ!
 ローロ・ラドー。それは、あたしの統べる国——ルキファルナ発祥のお菓子。馬車に少し似ていることから、どこかの古い言葉で馬車を意味する、ローロ・ラドーと名付けた。よく由来を知っていますね?ふん、凄いでしょ。……何よ、何で不満そうなのよ。
「……いえ、なんでもございません、カリン様。」
 でしょ、不満なんて、ないでしょ。
 あたしが世界を統べてるの、世界はなんだって、あたしの思い通りなの。不満なんて言ったモノは、即刻首をはねてやる!
 ま、ローロ・ラドー、あたしの母親……すなわち、先代女王、アスワンが名付けたんだけど。

* レン 〜ルキファルナ王宮 黄燐の間にて〜
 ここ、ルキファルナ王宮は広い。とてつもなく、広い。
 一日で全ての部屋でおじぎをして帰ってこれるだろうか、ってほど、広い。国の三分の一の面積を誇るほど、広い。もちろん、建設費用も、相当かかったに違いない。
 でも、先代女王、アスワンの時はまだこれよりはずっとせまかったはずだ。何故、これほどに広くなったのか?
 理由は分かっている。
 このルキファルナを統べる、王女様——カリン=ベリアー=ルキファルナの我儘によるもの。
 僕は一介の使用人だ。レンという名の召使だ。いや、ホントはレンじゃないけど、まあ、そういうことにしておきましょう。ともかく、そんな人間は、この国の国土面積について、どうこう言える立場ではない。
 なのに、この黄燐の間で、会議に参加させてもらえる。これは不思議である。
 しかも、その問題は、【ルキファルナ国土面積問題】だ。
 あ、そこの方。私語は慎んでもらえるよう、願います。
 えー、ともかく、このルキファルナは面積の三分の一が、王宮となっておりますね。え、百分の一?無視の方向でいきたいと思います。
 これはかなり、まずい事態となっています。国民からありとあらゆるものをおさめさせた結果、この王宮は出来上がりましたね。その犠牲になったものたち、つまり、そう、国民が、怒り、暴れているとの情報が入っています。
 はい、そこ、ルタカコ殿、意見ですか。どうぞ。
 そのうち、このルキファルナは滅びます。
 ……え。
 突然のその言葉に、僕は言葉を失った。宮廷魔道師、ルタカコの予言。これは絶対の言葉。
 大臣たちも、顔を見合わせている。
 僕は——体が寒くなってきて、吐き気をもよおす。だめだ。僕は、怖がりなんだ。よしてくれ!
「国民の怒りが、何よりの証拠。」
 ルタカコの冷たい言葉——。
 僕は、どうすれば——?
 取り仕切るんだ!取り仕切るんだ——!
 命令ばかりが頭に入ってきて、集中できない。気がつけば、震えている。
 怖いんだ。恐れているんだ。
 何を?
 何を?
 僕は、机をダン!と叩いた。