二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第2話 ( No.9 )
- 日時: 2012/03/07 21:24
- 名前: 雷燕 ◆bizc.dLEtA (ID: Ti.DGgQd)
彼女はオーキドがそう言いながら差し出したカードを受け取った。そして、あることに気が付く。
「……あの。……性別が男になってます」
見た目からは仕方ない……のか?
「え、違ったかの? 声変わりしてないだけかと思ったわい」
そう言いながら戻っていき、また少しすると再び居間へ入ってきた。新しいカードの性別は、ちゃんと女になっている。
「このカードがあれば毎月一定料金金を下ろせるから、大切にするんじゃぞ」
そ、そんなに重要なカードだったのか。思いっきりこのカードを落としていったポケモン泥棒がどこかにいた気がするが。とにかくその一定料金の中から毎月生活費を出して、必要なものも買わなければならないというわけだ。ゲームのように、バトルで勝てば金が貯まっていくというものではないらしい。
この金の出所は、税金か?
そんなことを考えていると、オーキドがモンスターボールを三つ持って来た。その、直径7cmくらいと思われる三つの赤と白の球体が目に見えると、彼女の胸は高鳴った。来た御三家! などと心の中でつぶやく。
「わしが持っとるのはカントーで一般的に初めてのトレーナーに渡す三匹しかいないんじゃが、いいかの?」
「はい。シンオウの三匹より嬉しいです。というかヒトカゲが欲しかったので」
「じゃあ最初のポケモンはヒトカゲじゃな。ヒトカゲはこれじゃ」
オーキドがそう言いながらひとつのモンスターボールを差し出す。彼女はそれを受け取った。この中に小さな生命が入っていると考えると緊張する。今、私は、ポケモンを持っているのだ。
「何かバックのようなものは持っとらんのか? じゃったら、残金に気をつけながら必要なものを買い揃えていくのがよかろう。それと……」
オーキドはまたどこかの部屋へ入っていくと、小型の機械をいくつか持って帰ってきた。
「ポケギアじゃ。何色がいい?」
「あ、じゃあこの黒で」
「よし、じゃあまずわしの電話番号を登録しておこう」
そして彼女はポケギアを受け取った。いま使えるのは、タウンマップと電話だけだ。確か、カードをスキャンしていくことで機能が増えるんだったっけ。それにしても、通信料もかかるだろうに。
そして、さらにオーキドは赤いポケモン図鑑まで取り出した。アニメではそうでもないが、ゲームや有名な某漫画では貴重なものではなかっただろうか。
「これももって行きなさい」
「あ……あの、なんでポケギアやポケモン図鑑までくれるんですか?」
彼女が疑問を投げかけると、オーキドは笑いながら答えた。
「チャンピオンに勝つ奴らのような、いい目をしたトレーナーに久しぶりに会えたからじゃよ」
「……はぁ」
「とにかく、これでまずは必要なものも全部揃ったじゃろう。旅に出るんじゃろ? そろそろ出かけてはどうかの」
「あ、はい……。あの、本当にありがとうございました」
「何、仕事じゃよ」
そう言ってオーキドはまた笑う。
彼女は別れの挨拶を済ませて、オーキドの家を出た。ポケットにはトレーナーカード、片手にはモンスターボールを持って。
家を出る際、さすがに素足であることに気付かれたが、「いつも履いてる靴が洗った後乾いてなくて。ポケモンを貰うとなると気が急いて裸足でいいかなあって思って」と苦しい言い訳をしておいた。
彼女はトレーナーカードを取り出し、眺めてみる。
「これが、今日からの私の身分証明書になるんだよなあ……」
そして、レイアの旅が始まる。