二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 運命の車輪  参照1000突破記念外伝執筆中  ( No.285 )
日時: 2011/05/29 19:01
名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)
参照: ここから外伝です♪

参照1000突破記念

外伝  後日談〜カムパネルラの数式〜



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世界を一つの数式として考えるなら、一体生物はどんな数字として存在するのだろうか。
X(エックス)のように謎の存在として点在されるのだろうか。
数々の命を、計算して求めていくのだろうか。
人と人で互いに干渉しあうように—————
そもそも世界がそんな数学式だったら、答えはすべて決まってしまうのではないのか?
答えは必ず一つ。
世界の答えとはなんだろう。
終末。
終結。
終幕。
終了。
終局。
答えは世界の未来であり、それは、世界の終わり、滅びを示しているのだろうか。

かなり昔、とある本を読んだ。
題名は忘れてしまったが、話は何となく覚えている。
ジョバンニとカムパネルラ。
二人の少年が宇宙を機関車にのって旅をするお話。

…話を一瞬でネタバレさせてしまうと、カムパネルラは宇宙の果てまでいけて、ジョバンニはいけなかったのだ。
ジョバンニは途中でおろされてしまったのだ。
だけど、現実世界に戻ってみると、カムパネルラは川に溺れて死んでしまったのだ。
なぜ川だったのかはわからない。
でも、カムパネルラは死んでしまったのだ。
宇宙の果てにいって、死んでしまったのだ。
ジョバンニは死ななかった。
現実世界に戻っても何も変わっていなかった。
カムパネルラがいなくなったこと以外…—————

カムパネルラはなぜ死んでしまったのか。
宇宙の果ては、人間がたどりついてはいけないものだったのか。
それによって罰を受けたのか。
罰を下したのは…やはり神様だろうか…。

宇宙の果てとは、一体どこにあるのだろうか。
宇宙は広すぎて、全く終わりが見えない。
旅をしても、ゴールには一生つけないだろう。

宇宙の果ては、恐ろしいのだろうか。
美しいのだろうか。
神々しいのだろうか。

それとも…—————



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「そんなところでなにをしているんだ。ドロッチェ」

ふと空想にふけっていた俺は、ドクの声で現実に引き戻される。

「んー…ちょっと考え事してた」

「考え事…お前にしては珍しいな」

「別に、珍しいことでもないと思うぜ」

「まだあいつらと広間で飲んでたんじゃないのか?」

「さっきまで、俺はまだまだいけるけど…あいつらが酔いつぶれて…もうちょいしたら部屋に運んどく。そんときにゃ手伝ってくれよ」

「…つくづく人使いが荒いな」

「そりゃお互い様だろ」

今日は宇宙船の中で、一味全体の宴会をしていた。
最近異様なほど宴会が行われる。
企画するのは大抵、スピンとストロン。
今日も酒やら料理やらでドンチャン騒いで…
しかし、この一味は俺とドク以外は皆アルコールに弱い。
企画者であるスピンなんて、葡萄酒(ワイン)一杯でほろ酔いしてしまうほど。

今広間の状況を表すなら、屍るいるいだ。
酔いつぶれて床で爆睡している奴、酔っ払ってよくもわからん宇宙語でフィーバーしている奴…
季節は今温かいので、風邪をひく心配はないが。

「酔っ払ってるやつらの中で一人虚しく飲みたくないし。だいたいドク、おまえさっきからどこいってたんだよ」

「新型UFOの微調整。今朝から微妙に調子悪くて」

俺は世間的に見たら割と小柄だが、ドクはもっと小柄だ。
目線が同じなのは、たんにドクが小型UFOに乗っているからだ。
チカチカと怪しい光を発光している。

「ドロッチェ、見ろ。新型の『D-032』だ。まだまだ試作品だが、これからもっとすごくなるぞ」

「前作とは何が違うんだ?ボディの色か?前は赤かったよな」

「まぁそれもあるが、この小型射出口からマシンガンのように弾丸を連射できる」

「…随分とまあすごいものを…」

「だけどそのかわりに重量が増えた。スピードがおちた」

「そこんとこ努力して改良しろよ」

「だからこその試作品じゃ」

ここは宇宙船内のテラス。
時刻は真夜中。
月の光が天井の硬質ガラスの向こう側から、スポットライトのようにテラス全体を照らしている。
電気はつけていないからとてもわかりやすい。
それでも薄暗いが、俺はこの場所が好きだったりする。

「ちょっとここで休憩してた。さっき酔っ払ったストロンからタックルくらってふっとばされてかなり痛い思いしたから」

「あいつも大きくなったよなぁ」

「昔はかなりチビだったのに」

「…お前まさか身長ぬかされたことに嫉妬してたり?」

「してねえよ!」

「本当かのぅ」

「いちいち嫌味ったらしい!馬鹿野郎!」

「ひードロッチェが怒ったぁ」

「声がキモい!しかも棒読みやめろ!」

「冗談冗談」

「たっくもう…!」

ドクは俺をよくからかってくる。
その発言はいちいちむかつく。
正直うんざりしているが、それがあいつ(ドク)なんだから、違和感はない。

「…そういえば、腕はもう大丈夫なのか」

「ああ、あと3日もすればギブスはずせるそうだ」

俺の右腕はギプスで頑丈に固められている。
おかげでマントを羽織るとき邪魔になってしょうがない。
この怪我は1か月ほど前、とある星での出来事で。
本当はもっと重傷で傷だらけだったのだが、幸い治りが速く、少しずつリハビリができている。
それはやはり、あの星の戦士のおかげなのだろうか。



まだまだ続きます♪








Re: 星のカービィ 運命の車輪  参照1000突破記念外伝執筆中  ( No.286 )
日時: 2011/05/29 15:53
名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)
参照: 外伝です♪

テラスから見える宇宙の空は、月周辺…シャインとよばれている月のすぐそばを通過する。
無限に広がる世界。
色とりどり、形それぞれの惑星がそこらじゅうにビー玉のように点在している。
そんな景色を見ていると、自分が非常にちっぽけに思えてしまう。

「ドロッチェ」

「ん?」

「一本吸わないか?」

ドクはそう言って、どこからともなく煙草を取り出す。

「ドク、お前まだに禁煙できてないのか?」

あれほど禁煙するする、と盛大に発表していたのに。

「これでも前よりはましだ」

「…ヘビースモーカーだったしな」

「たまにはいいだろ。ほれ、お前も」

「…俺、煙草吸ったことないんだけど…」

「意外だの」

「だって煙草って二十歳からだろ?」

「…お前二十歳こえてるんじゃないのか?」

「…わかんね」

「自分の年齢も把握しておらんのか?」

「…」

その通りだ。
俺は自分の年齢を全く把握していない。
誕生日すらわからない。
忘れたんじゃない。
忘れさせたんだ。
…そういうのはあまり思い出したくない。

「だから吸っていいのかわからねえんだよ」

「ちゃんと宇宙法律は守る奴なんだな」

「守らねえとあとで困るだろ。最近は防衛(セキュリティー)がきついし」

「…そのぶんには酒飲んでるじゃないか」

「たしなむ程度だ」

「嘘つけ」

「嘘だけどな」

思わず苦笑してしまう。
酒はどうしてはずせない。

「確かにのー…ハッキングも防衛ラインギリギリだし…」

「…そのぶんポップスターはよかったんだよ。機械とかやっかいなものがなくて」

「メックアイはやばかったの」

「…あそこは危うく死にかけたぜ…どうして無人のくせにあそこまで防御厳しいんだよ…」

「…で?吸わんのか?」

目の前ですでに煙草をくわえているドクは、年のわりには子供っぽく笑う。

「…吸ってみようかな」

「ほれ」

一本よくもわからない銘柄の煙草を受け取る。
ジッポを借りて(しかもこれがメッチャ古いアンティークのようなやつ)火をつける。
ボッと熱い音がした。

「…」

「どうじゃ」

「…」

「ドロッチェ」

「…」

「ドロッチェ?」

その時の俺は、相当顔をゆがませていただろう。



「ゲホゲホゲホっゲホゴホっゲホゲホゲッホ!!!」

「大丈夫か?」

「ゲホゲホ…な…なんだっ…?ゴホ!すっげぇ…むせっ…るっ!」

こんなのおいしいなんて思えないぞ!
ただ胸が痛くなって、苦しくなって気分が悪くなるだけじゃねえか!
俺は重病人になったように、何回も何回も咳をする。

「まぁ最初はそんなもんだろ」

プハーとドクは煙を吹かす。

「ウエップ…よ…世の中って…不思議で不可思議なものがあるんだな」

「どれもこれも人によって使い勝手は違う」

「そりゃあ…な、ゴホ」

この煙草…結構キツい奴だったんじゃないのか?
喉が痛い。
でも、大分慣れてきた。

「よくこんなの吸ってられるな」

「日々の鍛練」

「…アホか」

「お前は本当に酔わないな」

「自分でもよくわからん。あんただってあんまり酔わないじゃないか」

「…ドロッチェ…わしは割と強い方で…お前と一緒にしないでほしい。お前あんなに飲んで胃がもたれないのか?」

「全く」

「長生きできんぞ」

「あんたに言われたくない。肺ガンになるぞ」

「だな」

煙草を口から外して煙を吹かせてみる。
非常に変な気分だ。
煙がユラユラと揺らめいて立ち上り、消えていく。

一つの命のように。

「…今回のプププランドの件は失敗だった」

俺はふとそんなことを口走ってしまう。

「仕方なかろう。あれは禁断の物だったんだからの」

「…あんたにも悪いことしたな」

「メカクラッコのことか?」

「それもだ」

「メカクラッコのことなら全然平気じゃぞ?2号めがもうじき完成する。バックアップももともととっていた」

「…悪いな」

「何をいまさら。別にお前だけの責任でもないだろ」

「…」

「これこれ落ち込むでないぞぅ」

「…気持ち悪いその言い方」

「ほうほう…じゃあ…なぐさめてやろうか♪?」

満面の笑み…半分は嫌らしい笑みを見せつけられる。
かなり引いた。
否、すっごく引いた。
嫌悪感が一気に蓄積される。

「キモい!なんだその爺臭い感じは!よるな!ガチでどうした!まさか酔ってんのか!?」

「酔っとるわけなかろうが」

「正気かよ…」

「失敗などゴミの数ほどあるもの。めげるなよ。お前がめげたら一味はどうなる」

「…そうだな。すまん。ちょっと陰鬱になってた」

帽子をクイッと下げる。
煙草の味に慣れてきた。
でもやはりまずい。

「次のとこでは大物取りたいよな」

「次の星は」

「コレカラスターっていうとこ。あそこには滅びた古代文明がわんさかあるらしい」

「『コレカラ』…今の状況に相応しい名ではないか」

「またコツコツ挑戦していくさ。ポップスターの連中とは意外につるめそうだし」

次いった時は、デデデ城の金目の物、全部盗んでやるし。
俺はそのままテラスの物掛けに足を掛け、クルクルと回る。
鉄棒で蝙蝠をやるようなものだ。
煙がたなびいて、風にそよぐ。

「そういえばドロッチェ。マント直したのか?」

「ああ。飛行用マントはやっぱ欲しいからな」

今自分が羽織っているシンクの飛行用マントは、ボロボロになってしまったから作り直したのだ。

「でも、やっぱり精度があまいな。あまり高くも早くも飛べない。ホームメイドじゃあこんなもんだ。やっぱり専属の呪師(まじないし)と魔道具使い(マグトゥール)をつけたいな」

「?呪師はいるんじゃなかったのか?」

「あそこ破綻したらしい。ショッキングだ」

「世の中不景気だなー」

「泥棒稼業としちゃ結構堪えるな」




続きます(*^。^*)