二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 運命の車輪 ( No.36 )
日時: 2011/03/28 08:27
名前: 月兎 (ID: A2bmpvWQ)

第4章 鼠色の制圧



プププランド周辺が、謎の爆発物によって爆発し、火災を起こす。
集住区は、発砲音に包まれる。
皆が、焦る。
皆が、逃げ惑う。
皆が、恐怖する。

計画通り。
ストーリー通り。
筋書き通り。

今、狙う。
今、行う。
今、制圧する。

今こそ、ここで!

俺たちの願いのために!!



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「一体全体どうなっちゃってんの!?これは!」

カービィは、集住区に向かって、疾走していた。

「これが…予言の始まりか…?」

メタナイトも、カービィのわずかに後ろを走っている。

「!これが…!」

「いや、まだ断定したわけではないが…急がねばとりかえしのつかないことになる気がする。まるでこの爆発もあの発砲音も、誰かが策をねって行っているように感じる!どちらにしろこのまま放っておけない!」

メタナイトはスピードを上げて、カービィを追い抜かす。

「急ぐぞ!カービィ!」

「あ!待ってよ!」

二人は、プププランドのメインストリートを、駆け抜ける。

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集住区は、運が良かったのか、火災を免れていた。
しかし、道のそこらじゅうに、何かが焼き焦げたような跡がくっきりと残っている。

「これは…爆薬だな…」

メタナイトは、焦げあとのまわりにわずかに残った火薬を見て言った。

「完全なる意図的な行為だ」

「これをしたやつは、まだここら辺にいるよね?」

「おそらくな。まだそんなに時間がたっていない」

「こんなことするなんてゆるせない!とっ捕まえてプププランドの掃除させなきゃ!」






Re: 星のカービィ 運命の車輪 ( No.37 )
日時: 2011/03/28 09:52
名前: 月兎 (ID: A2bmpvWQ)

カービィは、怒ったように(いや、もう十分怒っているが)言い放つ。

「皆…レン村長のところにいるのかな…?」

「もしくはどこかに避難したか…このような危機には皆不慣れだ。早く
城に誘導しなければ…」

「よし!行こう!」

カービィは再び走り出そうとする。
そう、走りだそうと、一歩踏み出す。

「!カービィ!」

メタナイトは何かを察知したのか、カービィを自分の方に引き寄せる。

「!」

驚く間もなく、カカカカッ!と、手裏剣がカービィの足元に4本突き刺さった。

「え…?」

カービィはあっけを取られる。
メタナイトは素早く戦闘態勢をとり、身構える。

「誰だ!出てくるがいい!」

メタナイトは、誰もいないメインストリートで言い放つ。

「…ばれたッチュね」

声が聞こえた。
カービィたちから20メートルくらい離れた場所から、出てくるものがいた。

「…誰?」

カービィも遅く、戦闘態勢をとる。

サングラスと赤いスカーフをつけたオレンジ色のネズミ。
手裏剣を投げたのも、どうやらこいつだろう。

「お前か」

メタナイトは、宝剣ギャラクシアを構える。

「一体何の真似だ」

オレンジ色のネズミは、おもしろそうに笑う。

「お前なんて呼ばないでほしいッチュね。スピンっていうちゃんとした名前があるんッチュから」

「じゃ…じゃあスピン…?でいいんだよね?…どうしてこんなことするの!?これは君の仕業!?」

カービィは焦っているそぶりで聞く。

「ククク…!オイラもあるけど…オイラ達の仲間で行ったことッチュ」

「仲間?…お前ら…何の目的で…」

「うーん…見たところ…お前が仮面の騎士、メタナイト。そっちのピンク玉が星の戦士、カービィ…要注意人物。さっそくおでましってとこか
…」

スピンは検索するようにカービィたちを見る。

「ふんふん…この二人あいてじゃオイラはかなわねえッチュ」

「ならば、痛い思いをする前に、お前たちの目的、洗いざらいにはいてもらうぞ」

メタナイトはスピンを斬りかかろうと、足に力をこめる。

「まてまて、オイラたちは、お前らに危害を加えるつもりはないッチュ
。ただ…教えてほしいッチュよ」

「教える…?何を?」

カービィは不審そうに聞く。

「オイラたちの目的の物のことを…」

スピンは不敵な笑みを浮かべる。

「物…?お前ら…何者だ」

メタナイトは思考する。

(みたところ姿は、ダークマター一族ではない…では…なんだ?)

「『ドロッチェ団』」

スピンは答えた。

「ドロッチェ…団?」

「ドロッチェ団だと…!」

カービィは不思議そうに言うが、メタナイトは驚愕をあらわにする。

「そんな盗賊団がなぜここに!」

「このプププランドには、大いなる力をもこす、『運命を変え得る力』があるらしいッチュね!」

「運命…?何のことだ?」

「とぼけるんじゃないッチュと!このプププランドに眠る、秘宝のことッチュ!」

(秘宝!やはり秘宝があるのか!しかし…私たちが知らないことをなぜこいつらが…)

「まあ、いいッチュ。今はそう簡単にはかないってことはわかってるッチュ。あとではかせてやるッチュ」

スピンはそういって、手裏剣を構える。

「カービィ…」

メタナイトは、スピンには聞こえないように、小さな声で耳打ちする。

「なに?」

「ドロッチェ団とは…宇宙1ともいえる盗賊団だ。戦闘能力はもちろん
、策や盗みについては、誰もが舌を巻くプロフェッショナルだ」

「え、そんなにすごいの?」

「とくにドロッチェ団の団長が、一番の能力を持っている」

「ほえええ…やばそう…」

「とりあえず、今、あのスピンを私が抑える。その間にお前はレン村長の家に迎え」

「わかった…」

二人は即席で策をたてる。

「そんなのんきに作戦なんてたててて大丈夫ッチュかあー?」

スピンの声が聞こえたと同時に、カービィ達のすぐそばに、巨大な影が
立つ。

「!」

「え!?」

二人は気配を察したのか、後ろに跳ぶ。
その直後、さっきまで自分たちがいたすぐそばに、木槌が振り下ろされる。

ドゴッ!と、鈍い音を立てて、メインストリートに大きな穴が作られた。

「…!新手か!」

「あららー…かーわーさーれーたー…」

間延びしている声。
カービィたちの何倍にも大きい巨大な青いネズミが、木槌を持って現れた。

「遅いッチュよストロン。せっかくこいつらに気をとらせたのに…」

ストロンとよばれた巨体は、「すまーん」とのんびりに謝る。

この時点で、カービィたちは、スピンとストロンに挟まれた形となる。

「メタナイト…!どうしよっか…!」

「しかたがない…!やるしかない」

メタナイトはギャラクシアを構え、スピンに向かって走る。
カービィは、一番最初にスピンが投げた手裏剣を吸い込む。

「コピー!ニンジャ!」

カービィはニンジャをコピーし、ストロンに向かって走る。

スピンはメタナイトに無数の手裏剣を乱れんばかりに投げつける。
ストロンはカービィを木槌で狙う。

「ストロン!ゆだんするんじゃないッチュよ!」

「もーちろーん!」

戦いを繰り広げようとする、その刹那。

「ストップ」

空から声がかかった。

その言葉に4人全員が、動きを止める。

「スピン…ストロン…二人とも今、ガチで戦おうとしただろ」

「むう…ばれったッチュね…」

「…なんーか…たのーしーくーなってー」

「俺達は戦いに来たんじゃない。さっきそういっただろ」

空からにいる声の主に、スピンとストロンは謝る。

「とくにストロン。ドクと一緒に待機してろって言ってただろ」

「だってー…スピンーだけ…戦えて…いーいーなー」

「…ったく、あとで暴れさせてやるから我慢してろ。それにスピンは偵察だ。戦いじゃない」

「…お前は…」

メタナイトがようやく言葉を発する。

「…仮面の騎士…メタナイト…か」

声の主は、さっきまで見せなかった姿を、ようやくさらけ出す。
赤い帽子、赤いマント。
ネズミ色の肌に、黄色の瞳。

「…ドロッチェ…」

メタナイトは、声の主の名を呼んだ。

「あれが…」

カービィは驚く。

「初めまして…だな。仮面の騎士に、星の戦士。ちょっくら俺達の目的のために、利用させてもらうぜ」

ドロッチェは、日が沈んでゆく空の上で、シニカルに笑った。