二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナイレ 未来を知る少女『世界編』【オリキャラ募集中!】 ( No.86 )
日時: 2011/06/04 10:06
名前: 紗夜 (ID: UruhQZnK)
参照: 名前変えた!気分転換だよww

第14話 「差伸べられた手」




パーティーの舞台は外から中へと移動し、室内でダンスパーティーが行われている。

イナズマジャパンのメンバーも室内に移動し、各々パーティーをまた楽しみ始めた。


豪華なシャンデリア、少しだけ光を通して綺麗に透き通るステンドグラス、豪華な料理がのったテーブルがおかれた会場。そしてオーケストラの生演奏が響き渡っていた。


「凄いなぁ……初めてだよこんなとこ……」

円堂は圧倒されたようにそう呟いた。確かに、そうそう見れない光景だ。ダンスパーティーなど日本ではあまり行われていないだろう。いや、行われていたとしても出られるのは鬼道や夏未のようなお金持ちの家だけだ。円堂たち、一般人には無縁の世界だろう。


「ここまで豪華にする必要ある……?」

氷歌は呆れ顔で豪華絢爛な会場を見続けていた。しかし、円堂たちのように圧倒されている様子は全く感じられない。馴れている感じすらする表情だ。

「氷歌……何でそんなに慣れてるんだ?」

玲名が氷歌に尋ねた。玲名はあまり馴れていない様子で、会場の空気に圧倒されている。表情も少し硬い。

「結構こういうとこ仕事で来るせいだよ……要人の護衛とかでね。」

氷歌は呆れ顔を続けていた。













パーティーは佳境に差し掛かっていた。

華麗にダンスを踊る大人たちの中にナイツオブクイーンのメンバーがいた。

しかし、イナズマジャパンのメンバーはその様子をただ眺めていた。

「凄いですね。流石はイギリスと言った感じです。」

目金が尊敬の眼差しを踊っているナイツオブクイーンのメンバーに向けながらそう呟く。そんな眼差しを向けるのも分かる。彼らの踊りは完璧なのだから。相手をリードして華麗に踊っているのだ。


「当たり前ですよ。」

見下すような声が聞こえた。聞こえた先にいた、声の主はエドガーだった。シルバーのタキシードを着て、綺麗な髪を少しだけ揺らしながらこちらに向かって歩いてくる。

そう言えば踊っていなかったなと、イナズマジャパンのメンバーは思っていた。氷歌をのぞいて。

氷歌はさっきから気になっていたのだ。どうして踊っていないのが。あいつの性格ならだれよりも早く女の子を誘って踊り始めるはずなのに踊っていないのが。


「さてと、いい加減私も踊りましょうか。」

エドガーはそう言うと氷歌の目の前で足を止めた。真っすぐな目を氷歌に向け、優しく微笑む。

そして、唐突に手を差し出した。掌を上に向けて氷歌に差し出されたエドガーの手。微笑みを全く崩さず、氷歌を見つめ続けている。

「ご一緒していただけますか?」

エドガーはそう呟いた。氷歌は驚いた表情で、差し出された手を見た後にエドガーの顔を見て目を丸くしている。氷歌らしくない表情だ。

「何で……急に……」

氷歌は途切れ途切れに言葉を紡いだ。声を発するのがやっとという状況らしく、何度か口をパクパク動かすだけで声が出ていないことがあった。

「嫌ですか?」

エドガーが少し顔をしかめた。悲しそうにも、悔しそうにも見えるその表情を見て、氷歌が何も言えなくなる。

「……分かりました……」

氷歌はそう言いながらエドガーの手をとった。会場の奥で鬼道の手をとったのと同じように。