二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: Sなアイツにご用心!! 【イナGO】 ( No.2 )
- 日時: 2011/07/22 16:38
- 名前: 奈義沙 (ID: Ru7e1uoX)
《プロローグ 〜飛鷹の名を持つ少女〜》
私は、ドSだ。
相手の悲鳴、叫び、そしてあの命を乞うかのような目……。
この三つは、私の日ごろの鬱憤を晴らすのに一番いいモノだ。
あの殴ったり、蹴ったりした時の音……それは、私に快感を与える。
素手に伝わる、相手の頬の生温かさ……。
靴越しで足に伝わる、相手の骨のもろさ……。
それらはすべて、私に最高の感覚を与えてくれる……。
しかし、どんなに快感を与えても、私のココロの穴が埋められることはない。
何かが足りない……。
何か……もっと、大切な何か……。
それは何なのだろう……?
肩書き?
いや、そんなのいらない。
今のままで十分だ。
ある日、喧嘩した奴に聞いてみた。
「私の肩書は、一体何なのだ……?」
そしたら、奴は
「お前の肩書は、『蹴りのトビーの妹』とか、『破壊の聖女』とかじゃねぇの?」
奴が返してきたのは、私が求めていた答えと違う“答え”
私はそいつを殴った。
・・・
「もう一度聞こう。私の肩書は何の為にある……?」
そいつは答えなかった。
ピクリとも動かずに、息をしていた。
「ふん……」
この答えは誰にもわからない。
サッカーの為に、『蹴りのトビー』という肩書を捨てた兄——飛鷹征矢。
あまりにも馬鹿げていた。
そう言うと、兄は
「……」
黙って私を睨みつけた。
それほどサッカーに心酔した兄。
私は、その兄の墜ち様を黙って見つめていた。
テレビの前で——。
毎回のように試合でボロボロになって、それでも諦めずに勝とうと頑張った。
そんな兄を、私は誇らしいとも思わずに、ただ第三者の目で見つめていた。
周りがサッカーに染まる最中、私は喧嘩を続ける。
誰になんと言われようと、どうされようと、ココロの穴を埋めたいが為に、喧嘩をする。
ある奴らは、「怖い」と言った。
だが……あいつらは、「本当はいい奴」と言った。
あの無邪気な笑顔に囲まれて……
私は初めて、穴が埋まると確信した。
それは、ある快晴の空の元で起きた……。
小さな中学生の、小さな物語……。
東京都稲妻町で起こった、とある女不良の更生物語……。