二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 意味は、滅びていく合図 ( No.5 )
- 日時: 2011/08/26 19:28
- 名前: 蓮華 (ID: XCTlLH6Z)
- 参照: 紳士って最高だよね。
「そして街には華が舞い
人々は感嘆の声を上げました
何も舞わないこの街に
神は癒しを与えました
そして街には雨が降り
人々は体に浴びました
何も降らないこの町に
神は水を与えました
そして街には雷が落ち
人々は怯え震えました
何も落ちないこの街に
神は恐怖を与えました
そして街には雪が積もり
人々はその目に刻みました
何も積もらないこの街に
神は美しさを与えました
そして街は滅び去り
人々は姿を消しました
何もしないこの街を
神は終に見放しました」
「どした、レンカ。随分暗い唄歌って。」
「あれ、セシルじゃないですか。君こそ何で.....」
不意に掛けられた声に、帽子を深く被った少年が振り返る。
掛けられた声の主を確認した少年は海の向こうの月を眺め、話を続けた。
「セシルは、僕の昔のあだ名、憶えてますか」
「............あぁ」
「........そっか」
ポツ、とたった一つの質問にセシルと呼ばれた少年の答えを聞いて、少年は立ち上がる。
そして、体ごとセシルの方を向き、穏やかに笑った。
月のつくり出した影により、本当は分からないのだが。
何となく、そんな気がした。
「明日、出航するよ。一人で」
一人ですよ!と付け加えてレンカはセシルの横を通り過ぎた。
欠伸と共に伸びをするレンカの背中を見送り、セシルも、歩いていったのだった。
そして、次の日________
海の上に平然と立ち、セシルを真っ直ぐ見つめ、軽く笑うレンカ。
「大丈夫か」と問うセシルに「大丈夫です」と返す。
行く宛なんて全く無いけど、歩いてれば何とかなる!
「あ、そうだ」と言い出したレンカにセシルが顔を向ける。
「今度逢った時は、レンって呼んで下さい」
「解った」
手を振るレンに、セシルも手を振り返した。
“今度逢った時”がそう早く来るとは、両者知らずに、ただ手を振った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
_______海に浮かぶ船
波に揺られて、運ばれて。
ただ進む船。中には
自由奔放な船長
昼寝する剣士
長鼻の狙撃手
優秀な航海士
女性大好き料理人
可愛らしい医者
冷静な考古学者
スーパーな船大工
骸骨音楽家........
と、とても個性的な船員達がこの船に乗っている。
そして、いつもの様にコックと剣士の喧嘩が始まって
いつもの様に狙撃手と船長が釣りをして
いつもの様に海を眺めて
そして、何かを見つけるのだ。