二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 70章 不安 ( No.141 )
- 日時: 2018/06/09 12:18
- 名前: 霧火 (ID: RjvLVXA1)
目の前に広がる色は青と緑、そして赤。
その後に浮遊感が襲って、今度は水色と金色に変わる。
「 !」
そして白い世界で呼ぶんだ──
「…リオ。リーオ」
「………おかあ、さん?」
何度も自分を呼ぶ声に重い瞼を開けると、リオを見下ろす形でリマが立っていた。
「うふふ。やっと起きた〜」
「あれ……何で?ここ、は…どこ?」
ぼんやりと呟いたリオに、リマは苦笑する。
「あらあら。まだ寝坊助さんかしら?ここはアキラ君の家で、私とはさっき会ったじゃない」
「そっか…ごめんなさい。私、今の今まで夢を見てたから…」
「どんな夢を見てたの〜?」
楽しそうに尋ねたリマに、リオは暫く考えてから、
「……忘れちゃった」
そう、静かに返した。
「あらら…残念」
とても残念そうには見えない笑顔で言うと、リマは近くに置いてあった椅子に腰掛ける。
「それにしても…こんな遅くまでお昼寝だなんて、よっぽど疲れてたのね〜」
リオが徐に窓から外を見ると、すっかり日が暮れていた。
窓から目を逸らし、バツが悪そうに目を泳がせるリオの頬と耳は赤い。
「…どうだった?カミツレさんとのバトルは」
「ジムその物がバトルフィールドで、トレーナーの動き次第で戦況があんなに変わるバトルは
初めてだったから…正直、凄く緊張したし疲れた」
言葉を止めて振り返ったリオは、へにゃり、と笑った。
「…でもね、それ以上に楽しかった」
「そう…良かった」
目を細めて柔らかく微笑むリマ。
しかし急に、細められていた目が大きく開いた。
「どっ、どうしたの!?」
「ねぇリオ」
「な、何…?」
コロコロ変わる母の表情に若干怯えながらも聞き返すリオ。
「明日アキラ君と組んで、お母さん達とタッグバトルしてみない?」
「………はい?」
笑顔で出された提案に、思わず疑問系で答えるリオだった…
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そして翌日──
大きな跳開橋の前に、リオは立っていた。
「どうしてこうなった」
真顔で呟いたアキラの視線の先──そこにはリオとアキラ、2人に向かい合う様にリマとアヤネが並んで
立っていた。
前を見つめ大きく溜め息を吐いたアキラにリオは目を吊り上げる。
「そんなに嫌なら断れば良かったじゃない」
「…俺だって、こうなるって分かってたら断ってたっての」
複雑そうにリオに言い返し、アキラは昨晩リマと交わした会話を話した。
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「今日の夕飯はいつも以上に豪華で、凄い量だったな…」
食事を済ませたアキラはお腹を擦ると、浸けてあった食器を洗っていく。
次々と綺麗になっていく食器を目で追いながら、イーブイも賛同する様に鳴いた。
「リマさんは涼しい顔で平らげてたけど…もしかして大食いなのか?でも細ぇよな…」
『ブイ、…ケプッ』
「…明日からいっぱい動かなきゃな。俺もお前も」
最後の食器を洗い終えた頃、お風呂上がりのリマがひょっこりと顔を出した。
「男の子なのに偉いわね〜アキラ君は」
「リ、リマさん!いえ、俺なんて全然ですよ!」
「うふふ…謙遜しちゃって。リオにも見習ってほしいわ〜」
(これは、好感度大幅アップ!?)
心の中でガッツポーズするアキラ。
そんなアキラに、頬を上気させたリマが口を開いた。
「…あのね、アキラ君。明日私と「喜んでっ!!!」あらあら。即答してくれるなんて嬉しいわ〜」
「勿論です!リマさんからのお誘いですから!!」
「うふふ。じゃあ明日の9時に、リオと一緒に5番道路に来てね〜」
「はい!……って、え?リオと?」
頭に疑問符を浮かべるアキラに、リマは手を振って廊下へと歩いて行った──
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「アキラも大抵人の話聞かないわよね」
話を聞き終えたリオの口から真っ先に出たのがその言葉だった。
全くその通りである。
「し、仕方ねぇだろ!?頬染めて、明日私と…なんて言われたらデートと勘違いするだろ男なら!」
「お風呂上がりで赤かっただけでしょ」
冷めた目でバッサリと切り捨てたリオにアキラは目を見開くと、頭を抱えてしゃがみ込んだ。
「嘘だろ…!?それじゃあ俺、ただの勘違いヤローじゃねぇか…!」
「知らないわよ。じゃあ今からでも遅くないから、断ってくれば?」
そう言ってリオはリマ達を指差す。
「リマと組むのなんて何年ぶりですかね…腕は鈍ってない?」
「うふふ。こう見えても暇な時はバリバリ鍛えてるのよ♪問題ないわ〜」
和やかに交わされる会話。
しかしその一方で会話を一通り聞いたアキラの顔は、これでもかと言うくらい無表情になる。
「断るか、現状を受け入れるか…どっちにするか決めなさい。優柔不断な男の子は嫌われるわよ」
「あんな会話を聞いて、楽しそうなリマさんを見て、断れるワケねぇだろ……」
がっくりと肩を落とすアキラ。
リオもまた、これから始まるバトルに一抹の不安を感じるのだった。
タイトルが大袈裟ですが、リオの心情を表しているだけなので、特に深い意味はありません(えっ