二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 19章 リマvsマオ③ ( No.40 )
- 日時: 2020/07/16 14:45
- 名前: 霧火 (ID: HEG2uMET)
リマとマオの親子対決。
戦況はリマがムーランドとスワンナを倒して2勝、マオがエアームドを倒して1勝しており、
現在リマが優勢だ。
「エアームドも頑張ってくれたし〜ここは貴女に任せるわ。ガルーラ!」
エアームドをボールに戻したリマが次に繰り出したのは、お腹の袋に子供を入れている
某有袋類に似た姿をしたポケモン──親子ポケモンのガルーラだ。
「ガルーラ……確かカントーのポケモンよね?初めて見た!」
「俺もだ。何でも、現在判明しているガルーラの生息地は全国で4カ所しか無ぇらしい」
「そうなんだ。結構少ないのね」
「ガルーラに適した環境が今後見付かって、今より生息地が増える可能性もゼロじゃないけどな」
(袋の中の子、ちっちゃくて可愛い〜!)
滅多に見れないポケモンの登場にリオは目を輝かせる。
表情はあまり変わってないがそれはアキラも同じらしく、不意に鞄の中を探り始めた。
「何してるの?」
「ガルーラは希少種だし、育て屋達の間でも謎のポケモンとして伝わってるからな……
今のうちにレポートを書いておこうと思ってさ」
「珍しいっていうのは分かるけど、何で謎のポケモンなの?」
アキラの言葉にリオはこてん、と首を傾げる。
特に奇怪な姿をしている訳でも、変わった生態を持っている訳でもないからだ。
「だってさ、タマゴから孵った時には既に袋の中に子供が居るんだぜ?不思議じゃねぇか!
そもそも袋の中の子供は3年で親離れするって言うが、その時までに親と同じ大きさまで
成長するのか、独り立ちした後に年月を経て大人の姿になるのかも不明なんだ。
親が子供を出すのは安全だと判断した場所でだけ、つまり子供が親の袋から自主的に出て
親に別れを告げる時も、敵の気配が無い場所で密かに行われるんだろう。目撃例がゼロに
等しいから、あくまで憶測だが……」
「わ、分かった!ほら、バトルが始まるみたいだから続き見よっ?」
ノートに絵を描きながら力説するアキラにリオは顔が引き攣りそうになるが、何とか堪えて
リマ達の方を指差す。
まだ話の途中だったアキラはリオに話を中断されて不服そうに眉間に皺を寄せたが、このバトル
自体が滅多に見れない物だと思い、アキラも2人を見る。
隣でリオがほっと胸を撫で下ろしたのは秘密だ。
「私の最後のポケモンは……ドレディアよ!」
マオが最後に繰り出したのは、ロングスカートを履いたお嬢様の様な姿をしたポケモン──
花飾りポケモンのドレディアだ。
「あらあら。貴女、あの小さかったチュリネね?綺麗になったわね〜」
「そう……このドレディアは私が最初にゲットしたチュリネが進化した姿。綺麗にもなったし、
強くもなったのよ」
そう語るマオの表情は今までと違い自信に満ち溢れていた。
「先攻は貰うわよ!ドレディア!《花弁の舞》!」
ドレディアは飛び上がり、自分の周りに無数の美しい花弁を出現させると、ガルーラを囲み
幾度となく切り裂く。
「ガルーラ〜《ダブルアタック》よ〜」
「《蝶の舞》!」
ドレディアはガルーラの1撃目をダンスの様な動きで華麗に避けながら自分の特攻と特防と
素早さを上げる。
この時マオはガルーラの攻撃を見て、小回りが利かず攻撃のモーションも大きいため、2撃目も
容易に避けられると思っていた。
「なっ!?」
しかし2撃目は小さい〝何か〟に目にも止まらぬ速さで顎を殴られ、ドレディアは後退した。
「一体誰が、……!」
マオの疑問はすぐに解けた。
涙目のドレディアの視線の先には袋の中に入っているガルーラの子供が居た。
「……まさか。いいえ、そんなはず、」
「うふふ。正解よマオ。2回目に攻撃したのはガルーラの赤ちゃんよ」
その言葉に反応したのはマオでなく、レポートを書いていたアキラだった。
「嘘だろ!?ガルーラは子供を危険な目に遭わせる事はしねぇのに……!それこそ、戦わせるなんて
危険な事は、」
「普通はそうなんだけどね〜何故かこの子は敢えて子供もバトルに参加させるのよ」
困った様に笑うリマにリオは遠慮がちに手を上げる。
「で、でもこれだと2対1になるから反則じゃない?」
「ガルーラは親と子で1匹のポケモンなのよ。このくらいで反則なんて固い事言ってると、
この先何かあった時に苦労するわよ」
「お姉ちゃん……!」
(こんな優しくアドバイスしてくれるなんて珍しい!)
「まぁ、そうなったとしても私には一切関係ない事だし、お腹抱えて笑ってあげるわ」
(あ、やっぱり前言撤回……)
がっくりと肩を落とすリオを鼻で笑い、マオはリマと向き合う。
「まさかの伏兵に驚いたけれど、ここからが攻め時よ。《エナジーボール》!」
ドレディアは自然から集めた力を緑色の球状にして発射する。
《蝶の舞》で素早さが強化されているため、攻撃はあっという間にガルーラの額に命中した。
「反撃よ〜《巴投げ》〜!」
ガルーラはドレディアを引っ張り体を前へ崩れさせると、ドレディアの足の間に片足を入れる。
そして後ろへ倒れ込んで勢いよくドレディアを投げ飛ばす。
「《花弁の舞》!」
体が地面に叩き付けられる前にドレディアは大量の花弁を出現させると、一気に地面へと舞い散らす。
大量の花弁はクッションとなり、ドレディアのダメージを最小限に抑える。
「「……うまい!」」
「うふふ、やるわねマオ。だったらこの技はどうかしら?」
今まで笑っていたリマの目が、スッと細められた。
「《敵討ち》」
ガルーラは怒りの形相を浮かべ咆哮すると、ドレディアに向かって行く。
「《花弁の舞》でガルーラの勢いを止めるのよ!!」
ドレディアは無数の花弁を出現させると、檻の様にガルーラの周りを囲んで一気にガルーラを
切り裂いた。
しかしガルーラの勢いは止まる事なく、傷だらけになりながらも花弁の檻を脱出してドレディアに
腕を振り上げる。
「《エナジーボール》!」
ドレディアは手の平に緑色の球体を作り出し、ガルーラ目掛けて振りかざす。
『『!』』
お互いの攻撃が直撃し、ガルーラは木に、ドレディアは【試しの岩】に体を打ち付ける。
「立ちなさいドレディア!貴女なら出来るはずよ!」
マオの言葉にドレディアはよろよろと立ち上がる。
──しかし。
『……ッ』
「ドレディア!!」
立ち上がったのも一瞬で、ドレディアの足は崩れ、前のめりに倒れた。
そして入れ代わるようにガルーラが立ち上がった。
周りに密集している木の葉っぱがクッション代わりとなり、ダメージが軽減されたのだ。
「…私の、勝ちね。マオ」
己の勝利を喜ぶ様に、ガルーラは雄叫びをあげた。
その声は風に乗り、遠くへと流れて行った──
リマvsマオの親子対決はリマの勝利で幕を閉じました。
今回は意外な伏兵……ガルーラの子供が最初だけ活躍しましたが、実際ガルーラの子供って
強いんでしょうか?
3年で親離れしますが、それまでにどのくらい強くなるのか……ううむ、疑問です。
アキラが語った〝タマゴから孵った時のガルーラの袋の中の子供〟については、
長年の自分の疑問をアキラに代弁して貰いました。
長くなりましたが、次回、いよいよジムに挑戦します。
それでは次回もお楽しみに!