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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ‐ 悪ノ娘 ‐ ( No.8 )
- 日時: 2011/10/24 17:25
- 名前: こたろう。 (ID: zLcGFy2P)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
第四話 双子の召使は
「…かしこまりました。
すぐに手配いたします…。」
ネルは下を向いたまま後ろ手で扉を
開くと、泣きそうになりながらも涙をこらえた。
ー泣いちゃだめだ。私より苦しい人はいっぱいいるー
ぐっと手に力を込めると、ネルは城にある
放送室に向かおうとした。
だが、その手は後ろにいた人物に抑えられた。
「! レン君…」
ネルの手をつかんだのはリンの召使の
レンだった。金色に輝く髪に黒と白の執事服。
召使でもありながらリンの双子の弟で成績優秀。
リンのたった一人の親族だった。
「ネルさん。どこへ行くんですか?」
「えっと、今放送室に。」
真顔だったレンはその言葉にがっかりすると、
予測していたかのようにつぶやいた。
「姫がまた何か?」
「ええ。国の税金を15パーセントに引き上げろと。」
「…そうですか。」
レンは手にしていたポットを持って
リンの部屋の扉に手をかけた。
そしてピタッと止まると、ネルの方を振り返った。
「リンは本当は悪い子じゃないんですー。
ただ、今はお金に目がくらんでいるだけで…。」
「レン君…。」
いい訳ではなく諭すような口調でレンは淡々とつぶやいた。
そしてぺこりとお辞儀をするとリンの部屋に入っていった。
レンの悲しそうな顔を思い浮かべながら、ネルは一歩踏み出した。
足が重い。また国の人が荒らしに来るかもしれない。
それでも彼女は歩くしかなかった。
自分の地位と国民の苦情に板挟みされ、泣きそうな彼女は。
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