二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【pksp/pkmn短編集】さよならの恋の唄【リク募集】 ( No.291 )
- 日時: 2012/07/02 23:34
- 名前: 愛河 姫奈 (ID: ZUrGQhyc)
- 参照: http://id37.fm-p.jp/336/8710kuma/
所詮、俺達は馬鹿で阿呆で狂っていて醜くて汚くて脆かったんだ。触れると、崩れてしまいー…。
「ふぅ…やっと、終わったか」
レッドと話した次の日。いろいろあって資料が一つ終わっていなかったのに気付き、今日やる事になった。
クリスに「珍しいですね」と驚かれた。まぁ、それはそうか。俺は一度も忘れたことはなかったのだから。
しかし、簡単な資料な筈だった。普通なら30分しかかからない資料が45分もかかってしまった。
時計を見ながら今日もあまり剣道に入り込めそうにないな…などと考えていた。その時、生徒会室のドアをノックされた。
ー誰だ?
少し警戒しながらドアを開ける。その時、イエロ—が凄い無表情で俺の手を引いていきなり何処か行こうとした。
しかし、所詮は男と女の差。俺はイエロ—を容易く止めれてしまう。しかし、イエロ—は進もうとする。
「イエロ—」
イエロ—は振り向いた。その顔に、俺は息を飲んだ。イエロ—の瞳は澄んでいて綺麗で俺から見たら光その物のようだった。
しかし、今は違う。澄んでいた瞳は黒く濁り、絶望に満ち溢れていた。そして…狂気の瞳に代わっていた。
「お前…ッ」
「……よ」
イエロ—が小さく何か呟いた。しかし、その声はとてもか細く、俺には聞き取れなかった。
「なんだと?」
イエロ—にもう一度言うように問うと、イエロ—は瞳を涙でいっぱいにして甲高い声で叫んだ。
「死にたいよ!!」
まるで、イエロ—の様には思えなかった。いつも敬語で、いつも笑顔で、でも…レッドの事になると少し悲しそうな笑顔をしたり。
表情もコロコロ変えて可愛らしかった。自分とは違う。だからこそ、惹かれていた。
なのにー…!!
「こんな自分嫌だよ!なんで変われないの?!どうして僕はこんなに愚かなの?!
こんな…こんな…誰にも役に立たなくて誰かを傷つけて自分だけ幸せになるような自分なら…
死にたいよ………」
イエロ—はその場に座り込んで泣き始めた。そんな彼女を俺は抱きしめることもできなかった。
ただ、黙って頭を撫でることしかできなかった。いつか、こいつにも理想の相手が現れるだろうから。
「イエロー…」
「……全員、消えてしまえばいいんですよ」
いつもの敬語。だけどm何かが違う。嫌な予感がする。俺は瞬時に横に避けた。イエローはナイフを握っていた。
しかも、二本。一本は俺の方へさっき投げた。普通に避けれたが、何故イエローが…?
俺は校舎の裏側に走った。そこまで行けば、生徒はほとんどと言ってもいいほど、誰もいない。
俺以外の被害者を出さない為だ。この喧嘩(?)で誰かが傷ついたら笑い話にすぎないからだ。
走る。とにかく、全力で。
直ぐには追いつけないだろう。
走りながら俺は生徒会室の前にかけてあった自分の武器ー竹刀を取る。
そして、行き止まり。校舎の裏。
さぁ…始まりだ。
「…グリーンさん。なんで、わざわざ此処に来たんですか?」
イエロ—は凶器を持ったまま虚ろな目で俺に尋ねた。殺す奴がそんなことを聞くなんておかしいな。
俺がそう言うかのように笑うと、イエローは顔を顰めた。あぁ、こんなとこで俺はくたばるのだろうか?
そう思いながら俺は竹刀を握った。走ってる途中とってきたやつだ。俺にとってはこれが最大の武器になるから。
「イエロ—。お前は本当にそれでいいのか?自分の気持ちも言わずに終わって。まぁ、別に俺はどんな風にされてもいいが…。
お前の気持ちの整理がついていないのに誰かを傷つけたらお前が苦しいだけだぞ?」
そう言うと、イエローは震えた。そして、いつの間にか増えているナイフをまた俺に投げつけた。
俺はそれを避ける。イエロ—はまた投げてくる。それを俺は竹刀で弾いた。イエローから遠くなる場所へ。
イエロ—はただただ俺を睨むだけだった。何も言わず、俺を睨み続けていた。それは悲しいくらいに。
そして、沈黙の時間が過ぎー…イエローは口を開いてこう言った。
「僕、もう生きる気望がない…
だから」
自分にナイフを向けようとするイエロ—。俺はそれを止めるために走る。ぎりぎり、竹刀でナイフが払える。
今だけは、許してほしい。
さっき抱きしめられなかったイエロ—を抱きとめる。
「どうして…お前らは 死 しか見ないんだ……!!」
からん、と無機質な音を立てて落ちるナイフに俺はそれしか言えなかった。イエロ—の背中は震えているように感じた。
ポトリ、と落ちた涙の雫を拭って俺はイエローを見る。イエローを見つめ返してきた。
瞳は…
透き通っていた。
(僕は間違っていた)
(みんな死ねば苦しまないと思ってた)
(だけど彼が教えてくれた)
(それは違うってことを…)