二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【pksp/pkmn短編集】さよならの恋の唄【リク募集】 ( No.327 )
- 日時: 2012/08/01 10:55
- 名前: 愛河 姫奈 (ID: ZUrGQhyc)
- 参照: http://id37.fm-p.jp/336/8710kuma/
僕はグリーンさんが大好きだ。
しっかりしていて、いろんな人に尊敬されていて、ストッパー役で、面倒みがよくて、人の事をなんだかんだ言って心配して…。
そんなグリーンさんが僕は本当に大好きだった。
だから
失うなんて考えたことなかったんだ。
『僕の雫をぬぐう君が愛おしい』
それはある日の事だった。
僕がジムに差し入れを持っていこうと思って料理を作っている時で、いきなりポケギアが鳴ったのだ。
急いで手を洗って、拭いて電話に出た。電話してきたのはどうやらブルーさんで『イエロー…?』といつもより暗い声で僕の名を呼んだ。
僕は嫌な予感がして『どうかしましたか…?』と聞いた。冷や汗が流れてきた。
嫌な予感はきっと的中してるだろう。
だってポケギア越しに聞こえてくる声は全て悲痛に満ちたものだったから。
すすり泣きが聞こえてくる…。その近くで『もう泣くなよ!』と叫んでいたり。
…きっと、ゴールドさんとクリスさんかな?シルバーさんも近くにきっと居るだろうな。
レッドさんは『なんでだよ…ッ!』と叫んでいた。壁をたたいた音もした。
ブルーさんは声を振り絞ったかのような声を出した。
「グリ—ンが、死んじゃった、の………!」
僕の嫌な予感は当たっていた。
だけど、そこまで残酷な事だとは思っていなかった。
神様は残酷だ。
嫌いな人を選んで痛めつけて楽しむ。
好きな人には最高のご褒美を与える。
神様は
最低だ。
「そ、うですか。教えてくれて有難うございます」
悲しすぎて涙もでなかった。
頭の中がぐちゃぐちゃに掻き回されて何が何だか分からなくなった。
ジムはどうなるの?
レッドさんが継ぐの?
それとも違う人?
じゃあ
僕は…
誰を愛して愛されて死ねばいいの?
僕はつい、手に力がこもりポケギアの電源を切ってしまった。
「行かなきゃ…」
僕の足はトキワのジムに向かっていた。
居る筈がない。
分かってるよ。
だけどさ、
少しくらい期待してもいいんじゃないかな?
だって
大切な人なんだもん。
「グ、リーンさん」
大きな少し重たい扉を開ける。
返事は、ない。
「…無理だよね……分かってたけど……辛すぎるよ………」
ボロボロと零れ落ちる涙。
ここで泣いちゃうのか。
辛いよ、どうして…?
「グリーンさんの馬鹿ぁ…!」
その時。
頬にひやり、とした感触がした。
『イエロー』
と呼ばれた気がした。
声の主を探す。
探してもいるのは電子のグリーンさんくらい。
電子のグリーンさんは何も話せない。
体を触ってもすり抜ける。
それでも
アナタの声が
体温が
感じたから。
「きっと、何処かで見てくれてるんですよね?」
涙がこぼれた。
それはきっと。
アナタへの愛のあかし。
後日、死因がはっきりした。
少年を助けて死んでしまったらしい。
理由がグリーンさんらしくてつい笑ってしまった。
あぁ、グリーンさん。
アナタは僕が思った以上に凄く誇りに思える人なんですね。
助けられた少年は肩を震わせていた。
僕に怒られると思っているのかな?
「ご、ごめんなさいっ。僕のせいで……」
あの人は困っている人が居ると助けちゃうからな。
なんて思いながら少年に僕は笑顔で、
「大丈夫だよ。お兄ちゃんもきっと、キミを助けたことに後悔なんてしてないだろうから」
と言い、頭を撫でた。少年は「う、ん」と涙をぬぐっていた。
その後、とびっきりの笑顔を見せて帰っていった。少年はきっとずっとグリーンさんの事を忘れないだろう。
僕達の中でグリーンさんは生き続けてる。
僕は困った時に助けてくれる。
『グリーンさんは僕の心の中に生き続けている』
大丈夫。
僕の傍にはずっとグリーンさんがいるから。
一人じゃないですよ。
寂しくないですよ。
『グリーンさん。愛してます』
明日は僕の為の風が吹いて
アナタの為の太陽が輝きますから。