二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 君の隣で [テニスの王子様] ( No.3 )
- 日時: 2011/12/13 19:19
- 名前: 花 ◆tZ.06F0pSY (ID: SiB1Ygca)
**一章 [Pure love]**〜002.ただいま
「——————憂花!!!!」
家にやってきた憂花を見て、リョーマはその名を呼んだ。
大好きな幼馴染。病とずっと戦っていて、それでも負けない、強い幼馴染。
——そんな幼馴染の憂花に、リョーマは恋心を寄せていた。
「おじゃまします、リョーマ」
「ん、入って入って」
「お、べっぴん憂花じゃねぇか!!」
「南次郎さん!!お邪魔します!!」
「おうおう!!そうだ憂花、後でこっちこい」
「親父は黙ってて」
南次郎が喋り終える前にリョーマはそれを強制終了させた。
憂花は苦笑しながらリョーマの部屋へと向かった。久しぶりのリョーマの部屋にワクワク感を隠せない憂花だ。
「憂花。……一緒に登下校しよっか」
「え??いいの??」
部屋に入り、リョーマが言った事に憂花は驚く。
リョーマも憂花の返答に驚いた様で、目を少し開いた。
「いいの……って、なに??憂花はいや??」
「そうじゃなくて……。リョーマは友達と行くんだろうなぁ、って思ってたから……」
困った様に言う憂花を見て、リョーマは小さく笑う。
そして憂花の頭を、笑いながらなでた。
「俺は憂花と行く。どう??」
「……うん!!一緒に行くっ!!」
「じゃあ決定ね」
憂花が嬉しそうに微笑むと、リョーマも嬉しそうに微笑んだ。
そんなとき、憂花がリョーマに言う。
「リョーマはどこの部活入るの??やっぱりテニス??」
「もちろん。憂花は??文化系??」
「……文化系は、やだな」
「は??じゃあ……運動系??はないよね??いつ体調悪くなるか分かんないのに……」
「……それ、なんだけど」
憂花は小さく笑い、自信なさげに言った。
「リョーマが入るんなら、テニス部の、マネージャーやろうかなって」
「………………はぁ」
盛大に溜息をついたリョーマに、憂花はギョッとなる。
そしておそるおそると言った感じで、リョーマの表情をうかがった。
「リョ、」
「あのね憂花、分かってんの??憂花は病み上がりだよ??と言うかいつまた悪くなるか分かんないんだよ??そんな身でマネージャーできると思ってんの??」
「わ、私……自分のやりたい事は、やっていきたい……」
「……今じゃなくてもいいじゃん。完治してからでも」
「私、小さいころから病気で、ずっと自分のしたい事できなかったから……早くからやっていきたいんだ……」
しゅん、と言った感じで落ち込んだ憂花。
そんな憂花を見て、リョーマはさらに溜息をついた。だが、これも自分の大好きな憂花だ。リョーマはそっと、憂花の頭に触れる。
「……じゃあ、一緒に頑張ろう」
「っ!!!……うんっ!!!」
「でも無茶はなしね。……あ」
「ん??どうかしたの??」
不思議そうな顔をする憂花を見て、リョーマはクスリと笑う。
そして憂花の細くて華奢な身を、ぎゅっと包み込んだ。
「———おかえり、憂花」
“ずっと待ってた”と言えば、彼女は涙を流した。