二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: あの頃の二人には、もう戻れない。【イナGО】 ( No.10 )
日時: 2012/01/29 17:32
名前: 風見鶏 (ID: nWEjYf1F)


 第1章「この両手から、零れそうなほど。」

 
 第1話「永遠に、」

 「剣城ぃ!一緒に帰ろ!」

 天馬は、嬉しそうに剣城に駆け寄る。

 天馬と剣城は男同士だが、れっきとした恋人同士なのだ。

 告白は剣城からで、天馬は嬉しそうに涙を流して「いいよ」と
 言ってくれた。

 あれから一ヶ月ぐらい経つが、あの日のことは昨日のことのように
 剣城の記憶に深く残っていた。

 「ねえ、ねえ!つーるーぎぃー」

 剣城にはもう今の天馬は子犬にしか見えなかった。
 天馬の小さな頭を少し荒々しく、でも優しく剣城は撫でた。

 えへへ、と天馬は嬉しそうに目を細めた。

 天馬は、そんな剣城が好きで好きで仕方なかった。

 いつでも剣城は優しい。少し冷たいけど、
 その分優しくしてくれるから天馬はいつでも幸せを感じていた。

 「分かったから・・・じゃ、帰るぞ」

 「あ、待ってよ!剣城!!」

 天馬は剣城の少しだけ長い影を一生懸命追いかけた。

 「はあ・・・はあ・・・」

 「大丈夫か?ほら、」

 追いついたら、剣城は天馬に必ず手を差し伸べた。

 天馬と剣城にとっては、その瞬間が、幸せを、愛を確かめる
 方法だった。

 「剣城の手って、いつも冷たいよね」

 「冷え性ではないんだがな・・・手だけは冷たい」

 「だからね、いつも俺があっためてあけるよ!」

 と、天馬は剣城の手を自分の頬に当てた。

 猫みたいに剣城の手に擦り寄る。
 その行為が、すごく天馬を愛しく感じてしまう。

 「お前、本当にそれ好きだな」

 「だって、こうすれば剣城がすごく近く感じるから!」

 「遠く感じることってあるのかよ」

 「あるよぉ。女の子達が最近剣城の噂話をするんだもん」

 「はは、大丈夫だよ」

 ぎゅっと、天馬の小さな体を抱きしめる。

 「俺にはお前しかいないんだからな」

 「・・・いつもの剣城じゃないみたい」

 と、天馬は顔を赤くしてそう言った。
 その顔を見られたくないのか、天馬は剣城の胸に顔を埋めた。

 「・・・あ!」

 何かを思い出だしたのか、顔を上げ、鞄の中を漁り始めた。
 ストラップのようなものを取り出すと、剣城に差し出した。

 「剣城!これ、今朝葵から貰ったんだ!2つあるから、あげるよ!!」 
 一つは鍵穴のストラップと、二つ目は鍵のストラップだった。

 「ペアネックレスの様なものか・・・?」

 「え?ぺあねっくれす??」

 鍵穴に鍵を入れてみる。かちゃ、と音を立てて鍵穴は開いた。

 「やっぱり、ペアネックレスか」

 「ええ?そうだったの!?どおりで葵ニヤニヤしてると思ったあ」

 「迷惑だよね」としゅんと落ち込む天馬に、剣城は天馬の
 おでこにデコピンを喰らわせた。

 「ばあか、俺がいつ迷惑つった」

 「え・・・?」

 剣城は天馬に鍵穴の方を渡し、自分の鞄に鍵のストラップをつけた。

 「・・・ほら、お前もつけろよ」

 「え、あ、うん!!」

 天馬も急いで鞄に鍵穴のストラップをつけた。

 「・・・剣城」

 「・・・なんだ」

 「俺達、ずっと一緒だよ!」

 何を今更、と剣城は鼻で笑い、

 「当たり前だ。・・・『天馬』」

 「・・・!・・・うん!『京介』!」

 しゃらん、と二人のストラップが揺れた。


   ======永遠の誓いと愛の言葉======