二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 黄昏に問う“Who is you” 《inzm/APH》 ( No.1 )
- 日時: 2012/03/14 13:16
- 名前: 天音 (ID: cSw9GUzL)
- 参照: 卒業短編/南沢+流戯
「あーあ……遂に終っちゃったよ、義務教育。」
「別にいいだろ?お前、俺が転校する前とか全然ノート取ってなかったし。」
「え、まだ覚えてたの!?」
手に持った黒筒、鞄に突っ込んだ中学最後の成績表におそらく二度と開かないであろう教科書と参考書。
薄桃の桜吹雪の中を歩くだけでなんとなく、それとなく、別れの季節だな。との感じはするが自身が送る側から送られる側になったことには欠片の実感もない。
白い雲の流れる空を見上げ、今日の卒業式で泣きじゃくるクラスメイトや教師を思い出すも実感なんて全然沸きそうにないし、沸かす気もない。さらさらと風にそよぐ銀髪は何時もとなんら変わらないし、自身隣を歩く紫髪の彼から見た瞳だって恐らく何時もどおりの空色だろう。
なにも変わったことなど無いのだ。それこそ、何時も通りで詰まらなさ過ぎる日常で。
それでも、
「えー……でも、いざとなると寂しくない?ボクと南沢って高校違うし。」
「俺の場合、苦労して内申点を稼いだ甲斐があるってもんだな。」
「なにそれ、ボクが内申点無いみたいじゃないか!!」
「無くはないだろ?まぁ、限りなく少ないだろうけどな。」
やっぱり心のどこかでは寂しくて。
ひらひらと舞う花吹雪、その中を歩く南沢とボク。
今だからこそ一緒にこうして居られるものの、後半月もすれば頻繁に顔を合わせられなくなることは明確。
転校した後、推薦であっさりと志望校に合格したらしい彼は、暇なのかちょくちょく雷門に顔を出すようになっていた。そしてその度にサッカー部で唯一、一般入試だったボクを馬鹿にしては内申点の大切さとやらを神童らに説いていた。
『内申が無いとお前らも後々、あんなことになるぞ?』
一体何度その整った顔に分厚い、未使用新品ぴっかぴかの参考書を叩きつけてやろうと思ったか。
「でも、流戯にしては頑張ったんじゃねえの?……残念ながら、俺の足元には及ばなかったけど。」
「ね、さっきから南沢偉そうなんだけど。腹立つんだけど。」
数日前に卒業式を済ませた彼は今日の雷門の卒業式にも何食わぬ顔でやってきた。保護者席に彼を見つけたとき、まさか中三の癖に子供が居るなんて。と真剣に驚いていた三国が印象深い。
三国、保護者席だけど保護者しか座ったら駄目なんてルールないからね。あと、南沢に子供は居ないよ。
三年間、サッカーコートの上でこんな奴に背中を預けていたボクは凄く悲しくなったんだっけ。
*
「三年間、悪くなかったなぁ……!」
ふと振り返って校舎を見ても涙なんてでないし、戻りたいなんて思わないけど、あながち悪くない生活だったとは思う。
南沢や三国、天城、車田やらと馬鹿騒ぎして、サッカーして、勉強して。まさかの単独一般入試だったけど。
そんな彼らと別れるのは正直なところ、結構さびしいし、悲しい。
でもそれに勝ったのは、
「ねぇ、南沢———
自然と緩む頬は無意識に言葉を紡いでいて
———また、みんなでサッカーしたいよね?」
他でもない、ボクらの作る未来。
『さよならのダイアローグ』
(別れなんて笑顔と希望で包み込めばいいじゃないか)
@
卒業短編。
イナGOで流戯と南沢でした。
ダイアローグは対話、問答って意味です。
いつにもまして支離滅裂ですごめんなさい。
もしも今年が卒業の方いらっしゃったらお伝えください。
カスい短編でお祝いさせていただきます。