二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ポケモン短編】Restart!【リク募集】 ( No.2 )
日時: 2012/02/29 18:54
名前: グレイ ◆Qk0AOa1nlU (ID: pBQ/49vn)

※擬人化話



「貴方が怖いものって何?」

突然聞いてきたのは、一週間ほど前にいきなりここ、新月島に現れいつの間にか俺の隣に座っている少女だった。
少女はいきなり【ティル】と名乗り、何故か俺に付いてくる。

「怖いものなど…」
「ありえないね、何だろうと、何者だろうと怖いものがあるんだよ」

そういうと、ただぼうっと海を眺め始めた。
俺が怖いもの、沢山あるだろうと自分でも思う。
しかし、何故かこの少女の前だと素直にもなれない。
それに、何故いきなりこんな質問をしてきたのか、意図がわからない。

「逆に問おう、貴様に怖いものはあるのか?」

すると、少女は儚げに笑った後、蚊の鳴くような声で「忘れ去ること」と呟いた。

「私はね、忘れん坊なんだよね、誰に会ったのか、そもそも誰だったのか、昨日の夕飯食べたっけ? …って言った具合で、すぐ忘れちゃうんだ」
「何故それが怖いのだ?」
「…いつか、全部全部、私の名前も大切な物も幼なじみも君も全部全部忘れちゃうから、そしたら私は空っぽになるんだろうね」

少女は、ははっ!! とカラカラ笑う。
胸が痛い。
空っぽと言うことは、ただ生きているだけと言うことなのだろうか、もしそうだとしたら

「寂しいな」
「…そうだね」

俺は少女を後ろから包み込み、抱きしめる。
すこし、落ち着く。

「…じゃあ、俺が名前を呼んでやろう」
「…え…」
「“ティル”こう呼べば忘れないだろう?」

少女…いや、ティルは沈みかけている太陽を眺めながらただ笑っていた。


【忘れんぼ】

(これが俺とティルの出会い話)