二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【REBORN】ホワイトデーの恐怖、来る!【合作】 ( No.7 )
- 日時: 2012/04/09 12:41
- 名前: 葵 ◆CTx8mbrkTA (ID: ZEuRnT3o)
- 参照: どーん。
「……そういえば、十代目は何してらしたんですか?」
「え? あー……俺は俺でチョコ探ししてたよ。結構……大変だったけど」
————
ツナは悩んでいた。
まさか、こんな事で悩む日が来るとは思ってもみなかっただろうが。
今日はホワイトデー一日前。
ホワイトデーとは、バレンタインデーにチョコを貰った男子が、女子に何らかのお返しをするというイベントだ。
貰えない者には永遠に無縁なイベントだったが、ツナは違った。
今年の獲得チョコ数、3個。
一つはとてもではないが食べられる物ではなく、しかも捨てるにしても公害を発するが為に、受け取る事を断固拒否したチョコである。
拒否してバレンタインデーに逃げ回っていた話は、また別の話。
「京子ちゃん、ハル、クローム……」
こんなに大勢にチョコなど貰った事のないツナには、青天のへきれきであった。
特に、京子から貰う時には涙が出そうになるほど。
まぁとにかく、彼はチョコを貰った経験があまりにも少ない。
ここはやはり、チョコを貰う様な人の力を借りて、何を返すべきか情報収集をすべきだ、と彼は考えた。
「えーと……。守護者だと……雲雀さん、山本、獄寺君、骸、京子ちゃんのお兄さん、ランボ……」
まずツナは雲雀と獄寺、了平とランボを案から撤去した。
獄寺は恐らく沢山チョコを貰っているだろうが、獄寺はまず、返すという作業をしない。
雲雀は確かにカッコイイのだが、女子生徒からチョコを貰っているのかと問われれば、少なくともツナには分からない。
了平は適任だし、誰に対しても真剣に選んで返しそうだが……あえて除外した。
妹の為に真剣に選んで貰っても困るからだ。
ランボは言わずもがなである。
「じゃあ、消去法で山本か骸……」
が、恐らく骸はいないだろう。
復讐者の牢獄に閉じ込められているから、今は代わりにクロームがいるのだから。
そもそも、ツナに力を貸してくれるとは到底思えない……だから除外。
「山本!」
山本なら快く力を貸してくれる筈だ、とツナは確信していた。
とてつもない野球馬鹿ではあるが、彼はモテる。
しかもあの性格上、チョコを返さないなどという事もしないだろうという判断だった。
そうと決まればツナの行動は早かった。
適当な服に着替え、あまりお金の入っていなかった財布にお金を継ぎ足して、ツナは颯爽と家を出て行った。
————
数十分後、ツナは猛烈に落ち込んでいた。
「野球の試合で夕方まで帰って来ないとか……。そんなのってないよ」
どれだけ嘆き悲しもうとも現実は変わらない。
ツナは守護者内の人の力を借りるというのは、もう諦めた。
少なくとも、山本の力を借りるのは絶対に無理だろう。
守護者達は頼れる人ばかりだが、改めて人間性に欠けた人ばかりだともツナは感じていた。
最も、自分が言える立場でもないのだが。
「他に頼りになる人と言ったら……」
思い付くのはバジル、ディーノ、それからヴァリアーの面々。
が、バジル、ディーノ、それからヴァリアーの面々は全て外国にいる。
連絡を取れば来てくれない事もないだろうが、仕事の最中だと困る。
ここはやはり自分で考えるしかない、と腹をくくった時だった。
「綱吉君っ」
「……なんか想像はしてたけどォオ」
唐突に目の前に現れたそいつを見て、ツナは頭を抱えた。
ニコニコと笑みを浮かばせているのが、尚更腹立たしくも思えた。
目の前に現れたのは、正に10年後百蘭であった。
「何で!? 何でいるの!? ここ並森町だし10年前だよ!?」
「僕には検討もつかないよ。とにかく、綱吉君は今ホワイトデーのお返しに悩んでるんだよね? 僕を救世主だとでも思って、大船に乗ったつもりで任せてよ」
「いや、俺はお前がある一択しか出してくれない気がする」
「え、何で分かっ」
「分かるわボケ」
最早キャラが崩壊し始めたツナに、百蘭は「酷い…」と涙目である。
「で、他に案とかないの?」
「………ない」
「帰れ。何しに来たんだお前」
「ちょ、ちょっと待って! 女の子が好みそうな物でしょ? 僕に任せてみてよ!」
一応ツナより自信があるのか、それとも地に落ちた自分の評判を戻したいのか、百蘭は食いついて来る。
内心ツナは面倒臭いと思っていたものの、他に頼る相手などいなかった。
つまり、この百蘭に任せる他ないのである。
「仕方ないな……」
ハァ、と溜息を漏らし、ツナは全てを百蘭に託したのだった。