二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBORN】ホワイトデーの恐怖、来る!【合作】 ( No.8 )
日時: 2012/04/13 19:44
名前: 北大路 ◆Hy48GP/C2A (ID: vlinVEaO)



「白蘭がですか……」

 ツナの話を聞きながら、真剣に相槌を返してくれる獄寺。根はとっても良い奴なのだが、頼れるかどうかと言うと……。

「それで、その後どうなったんスか?」

思わず本音が出て来そうになったツナだったが、何とか留めることが出来た。

「まあ、何とか」



 10年後の白蘭が、半ば強引にツナを連れてやってきたのは……。

「……何で如月ん家?」

如月というのは、ツナと同じ並盛中学校に通うクラスメートである。
休日なんかにはよく、彼女を含む、俗に言うと「いつめん」と呼ばれる仲間と遊びに行ったりしている。

ちなみに、ツナが「如月」と呼ぶのは、妹のユウの方である。
姉のことは「ユナさん」と呼ぶのが、ユウは気に入らない様子。

「前に一度、ユウちゃんには世話になったからね」

白蘭が懐かしそうに言った。

というのも、一泊だがユウの家に居候していたことがあり、挙げ句ツナに「ツナマヨ風味のマシュマロ」を手土産に持ってきたが、如月家には何も土産無し。

正直、ユウにとって、鬱陶しいだけであった。

「ユウちゃん居る?」

白蘭は、インターホンもノックもせずに、なんと庭から入ろうとしていた。
ツナは、止めもせずに、ただ目の前の不法侵入の現行犯を黙って見ていた。

「……先が思いやられる」

やはり白蘭を信じたのは、失敗だったようだ。

*如月家

「何で玄関から来なかった」

顔中クリームだらけの白蘭と、その後ろに立っていたツナに(こいつは玄関から入ってきたが)、あからさまに嫌な顔をしてユウが聞いた。

何故、顔中クリームだらけなのかというと。侵入して、二階の窓から白蘭がやってきたので、ユウは思わず、食べかけのクリームたっぷりのケーキを、白蘭の顔面に投げつけてしまった。といういきさつである。

「そっちの方がインパクトあるじゃん」

インパクト云々以前に、不法侵入の現行犯で逮捕されてしまうという考えは、多分白蘭に無かったのだろう。
おまけに顔中クリームなんだから、説得力の欠片も無い。

「あの、ホワイトデーのお返しなんだけど……」

ツナが言った。

「京子ちゃんと、ハルと、クロームに、バレンタインデーに……チョコ貰ったんだ」「……私もあげたんだけど」

ユウが低い声で呟いた。
まあ、ユウからは、手作りではなく、買った「千口ノレ(せんくちのれ)チョコレート」 と言う、超手抜きチョコだったから、ユウからすれば「数に入っていたら逆に驚き」という具合だったが。

「……あ、ごめん」
「いや、いいんだけどね?」

ユウとしては「あんな物、数の内に入るか」と言われた方が楽だった。まさか真に受けるなんて。

「……で、何だ? お返しに困ってるの?」

ユウは、自前の短めの金髪を掻き上げながら言った。同時に、ヘアフレグランスだろうか、何やら爽やかな柑橘系の香りがした。

「うん、まあね……」

照れくさそうにツナが言った。

「マシュマロがいいと思うなぁ」
「……てかさあ」

ユウが、顔面クリーミィな白蘭を指指して言った。

「お前さんは何しに来たんだ?」

流れから言えば、白蘭がツナを連れてきたことは何となく分かった。だが彼は、ケーキを投げつけられてから、大人しくなっていた。

白蘭は「そんな冷たいこと言わないでよ、久し振りに会ったのに」とか言っていたが、ユウとツナはガン無視だった。

「んー、チョコレートのお返し、何が良いかな?」
「マシュマロだって」

頭を抱えるツナ。やはり白蘭に任せたのは間違いだったけど、だからと言ってどうすることも出来ない。

「……あ」

ユウが小さく声を漏らした。その声をツナは聞き逃さなかった。

「何か思いついたの?」

目を輝かせながら、白蘭は言った。コイツ関係無いが。

「……宿題やってねー」



Re: 【REBORN】ホワイトデーの恐怖、来る!【合作】 ( No.9 )
日時: 2012/04/15 15:07
名前: 北大路 ◆Hy48GP/C2A (ID: 9upNnIV5)


「宿題!? お返しより宿題!?」
「だって今思い出したんだし」

 ツナとユウがワーワーと言い合っているのを見ながら、白蘭は言った。

「なら、マシュマロで良いんじゃないの?」

何故そこまでマシュマロを推すのか、ユウとツナには、皆目見当も付かない。たが、代わりに何かいいものが思い付いたわけでもなかった。

「……マシュマロにしとくか?」

ユウが言った。

「……んー」

腑に落ちない様子のツナ。かつてこの男に殺されかけたんだし、
今回だって急に現れたんだ、何か企んでるのだろうか、それとも……。

「じゃあどうするぅー」

某コント番組のノリで、ユウは半ば絶望的に言った。
そして髪をまた掻きあげた。

爽やかな柑橘系の香りが漂った。

「……これだ!!」
「え!?」

ツナがいきなり叫んだので、白蘭が驚いてツナの方を振り返った反動で
顔にまだ付いていたクリームが床に落ちた。

「香水……とかどうかな?」

ユウの髪から、爽やかな柑橘系のヘアフレグランスの香りがしたのを香水と勘違いしたツナ。
いい線いってるんじゃないか、とはツナの弁。

なぜ急に香水など思いつく? 
と思いつつも、ユウもその意見に同意。

「いいんじゃない? ……てかさ」

ユウは、白蘭が落としたたっぷりのクリームを指差しながら言った。

「クリーム、後で拭いといて」
「分かってるって」



「そうだったんスか……、やはり十代目は素晴らしいです!! 香水、あいつらにはウケましたか?」

何だか、京子やハルより、自分が貰いたかったと言わんばかりの表情で獄寺が言った。

「まぁ、ね」



ホワイトデー当日。公園で会う約束を取り付け、
その時香水と、どうしても譲れないという白蘭のワガママでついでに買ったマシュマロを渡すことになっている。

ユウのプロデュースにより、
シブい黒のレザージャケットと、カッコ良いTシャツ、イカしたジーンズと、洒落たブーツでとてもカッコ良くキメてきたツナ。
公園の緑が、一層カッコ良さを引き立てる。

「本当に似合ってるの?」

あまり着ない服に戸惑うツナ。
こういうの、獄寺君なら似合ってるんだろうな。

「OK、いい感じー!」

頬の位置に親指と人差し指で輪を作り、
いつもより高い声でユウが言った。
正直似てない。似合わない。

「まぁ頑張ってよね」

そして何故かまだ並盛に滞在してした白蘭。
彼もツナの事が心配だったのだ。

「ツナ君!」
「ツナさ〜ん!」

ドキリ。ツナの心臓が飛び出しそうになった。
京子とハル、クロームがやって来たのだ。

「……ボス、どうしたの?」

吸い込まれそうなクロームの瞳に見つめられながら、質問されるツナ。

「あ、コレ……ホワイトデーのお返し……」

照れ臭そうに、ラッピングされた香水とマシュマロを手渡すツナ。後方から「OKー、ウフフー」と聞こえた気がした。

「ありがとう……、開けていい……?」

嬉しそうにそれを受け取るクローム。

「こっちが京子ちゃん、これがハルの」
「うわ〜、何をプレゼントしてくれるの?」
プレゼントを手に、ワクワクドキドキの三人。

ゆっくりと包装紙を剥がすと、
ハルには「A pastel fruit」、京子には「charming*flower」
、そしてクロームには「mysterious CROSS」という
7割ユウ、2割ツナ、1割白蘭が選んだ香水と、淡いパステルカラーのマシュマロ(袋入り)が出てきた。

「うわぁ……可愛いです〜」
「……嬉しい」
「すごーい、豪華! ツナ君ありがとう!」

女子の反応は上場だった。



「良かったじゃないっスか! 十代目!!」
嬉しそうに獄寺が言った。

「うん、だけど……、バレンタインにビアンキのチョコを受け取らなかったけど、京子ちゃん達からは受け取ったんだ……」

話している内に、段々声のトーンが落ちていくツナ。

「そしたら、お返しあげてるところ見られちゃって……」

生唾を飲み込むツナ。

「どういう事かって聞かれて、答えられなかったから、俺逃げたんだ」
「姉貴がですか!?」

まさかツナも自分と同じ目に逢っていたなんて、嬉しいやら、悲しいやら。と獄寺は思っていた。

「結局、それから記憶が無いんだ。目が覚めたら如月の家にいて……白蘭もいたんだけど」

空白の記憶の原因は、ポイズンクッキングである事は言わずもがなである。

「やっぱ……」


ビアンキって怖ええぇ……と、改めて痛感したホワイトデーであった。

*end