二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 風の守護者とプリンと風紀、 / REBORN ( No.3 )
- 日時: 2012/05/05 17:37
- 名前: なゆ汰 ◆TJ9qoWuqvA (ID: w0.JbTZT)
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標的01 / 世界が生まれた日
皆さんこんにちは。早くも3歳な浅井千歳です。時間の流れが速いとかそういう文句は受け付けません。さて、あの日、あの後やさしそうなおばあちゃんが家に来て、私を育ててくれました。おばあちゃんの独り言に聞き耳をたてていると、その内容からやはりお母さんはボンゴレファミリーのマフィア(正しくは諜報部員)らしいということがわかりました。
あれから3年。お母さんはちょくちょく家に帰ってきます。お父さんはボンゴレの守護者たちの補佐で忙しいらしく、顔も見たことはありませんが連絡はとっています。
それでは前置きが終わったところで本編に入りましょうか。
幼稚園に入った。やはり此処はREBORNの世界らしいということがわかった。なぜなら幼稚園の名前は「並盛ようちえん」だったから。かなり安易な理由だが、元の世界に、(私の知る限りでは)そんな地名なかったはずだ。
私は身体こそ3歳だが精神年齢は20歳近くだった。だから私の大人びた態度や面倒くさがりな性格、その上なんとなく使っていた堅苦しい敬語に幼稚園の先生たちは「子供らしくない」と口々にいった。そして「もっと子供らしく」とも。先生たちは子供らしい幼稚園児は可愛がったが、私のことは一切構わなかった。気味が悪いと私を避け始めた。次第にそのことに疑問を覚えた幼稚園児たちも、私から離れていった。私は独りになった。
私は3歳にして、根暗で奇妙な子供に成り下がった。しかし私は別に気にも留めなかった。私は元の世界にいたとき、通信簿に「自分のことにも他人のことにも無関心です。もっと関心をもちましょう」と書かれた位、何もかもにも無関心だった。自分のことにも。だから私は独りだろうがなんだろうが別によかった。一人でいる方が楽だとさえ思っていた。
しかしおばあちゃんはそうは思わなかったらしく、いかなるときも一人でいる私を心配そうに見つめ、こう言った。
「お友達をつくりなさい」
「なんでですか?わたし、ひとりでいてもへいきです」
「人はね、一人じゃ生きていけないのよ。誰かがいるから、強くなれるの」
「……」
おかしい、と思った。REBORNの中の登場人物である雲雀恭弥は、一人であっても強かった。私はその強さに、憧れていた。群れるばかりの人間にはなりたくなかった。ひとりでも生きれるその強さを、欲しい欲しいと、そう思っていた、のに。
どうして、私を嫌い、気味が悪いと突き放す人間と、友達にならなければならないのだ。
誰かがいるから強くなれる?そうではない。〝誇り〟や〝使命感〟が人を強くするのであって、その人物が一人であろうと誰かといようとそんなの関係ない。
けれど、おばあちゃんにそんなことを言えるはずも無く、小さな声で「はい」と一言呟いた。
部屋に戻ってベッドにもぐれば、涙が目からこぼれだした。戻りたかった。元の世界に、戻りたかった。元の世界に戻って、昔のように〝女子高生〟として、生きたい。何故転生などしてしまったのだろう。私は女子高生なのであって、幼稚園児ではないのだ。
転生するくらいなら、地獄にいくほうが、まだマシだった。
——私は、〝異端者〟なのだ。
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