二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ワンピース-王子嫌いな円卓の騎士 ( No.25 )
日時: 2012/06/17 15:25
名前: 勇騎那 (ID: .96qqWiz)


「陰謀がどんなものかは知らないが、こいつはそうやすやすと口にしていいものじゃない」
「そうだな」

ゴドリックはフォークスから渡された黒のヴァンパイアップルを一口かじった。
もうすでにこの果実を食べたゴドリックには普通のリンゴの味しかしなかった。
しかし、人間以外の種族、つまり人魚、巨人などがこれを誤って食してしまったら……
一瞬、脳内によぎった考えを消し去った。

「これが売られていたのは、確かなんだろ?」
「あぁ。さっき買ったやつだ」
「…白いヴァンパイアップルはなかったのか?」
「それはなかった。あったのは黒いほうだけだ」

それを聞いてゴドリックは心底安心した。
安心してその場にへたり込んだ。

「はぁ〜……」
「どうした、ゴドリック」
「治癒ヴァンパイアップルなら、まだ大丈夫だ」
「治癒ヴァンパイアップル?」

フォークスはゴドリックの言っていることが分からなかった。
そもそも治癒ヴァンパイアップルと言う単語を初めて耳にしたからだ。

「黒いリンゴは食べれば治癒の力を持つヴァンパイアになって、白いリンゴは一口でもかじれば理性を失った猟奇的なヴァンパイアになる。
よく、白いリンゴを治癒ヴァンパイアップルと間違えて食って、それでただ無分別に人を襲うヴァンパイアになるやつがいるんだ」
「じゃぁ、もしかしたらその治癒ヴァンパイアップルは手違いでもってこられたものなんじゃないのか?」
「手違いだと?」

ゴドリックは頭に疑問符を浮かべた。

「そのリンゴを運んできたやつをアシュトレと呼ぶことにしよう。
そのアシュトレは、恐らく多くの者を殺生をするヴァンパイアにして、軍隊でも造るつもりだったんだろう。
それでその黒いリンゴを持ってきたが、それは治癒ヴァンパイアを生み出す源だった。
だから万が一この島の島民たちがそのリンゴを口にしても、医者が生まれるだけ。
ひとまずは安心だ」
「あぁ。そうだな」

ゴドリックが気が気でないのはフォークスが肌で感じた。
ルビーのように真紅の目は、警戒の色を帯び、薄い唇からはある言葉が漏れた。






「ヴァンパイアを隠れさせたのは人魚や巨人だ」



その言葉に何が隠されているのかなんて、フォークスと若草の海賊以外は誰も知らない。