二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ワンピ×ダン戦-交わる三本の線(オリキャラ募集chu!! ( No.90 )
日時: 2012/06/27 17:28
名前: 勇騎那 (ID: gwo7dxKL)

アマンダは夜、甲板でビンごと酒を飲んでいた。

「はァ…」

気分が上がらず、敵船との勝利を祝う宴に出る気にもなれなかった。
シャボンディ諸島で見たことが彼女の気持ちを下げていた。

鎖を外して脱走を図った奴隷をだれも救おうとせず、その奴隷は、爆発する仕掛けになっている首輪に敢え無く命を落とした。
そこへ"天竜人"が通りかかり、トリガーを引いた。
誰もが膝をつき、見て見ぬふり。
悪逆非道だと思いながら、結局自分の命が大事なのだ。

そんな現実にアマンダはため息がこぼれた。

「ブスがさらにブスになってやがるぞ」

しょっちゅうアマンダの癇に障る男の声が頭の下から聞こえた。
彼女とは頭一つ分の身長差、17歳と13歳という微妙な年齢差がある赤髪のシャンクスの声だ。

「あんたは性格ブスじゃない」
「んだと!?」

シャンクスは密かに思う相手の辛辣なものの言い方に苛立ちを覚えた。
しかし、今日はいつものけんかをしに来たわけではないと邪念を振り払った。

「"天竜人"のことだろ?」
「うん………」

アマンダは渋った声を出した。
初めて見る彼女の悲しい顔にシャンクスは胸が痛んだ。

「目の前で人が撃たれても知らないふりをするんだよ?」


————おかしいって

アマンダは泣いていた。
トパーズの目から透明なしずくが滴る様を見て、シャンクスは不謹慎にも綺麗だと思った。

「生まれてきただけ、生きてきただけなのに、それ以外は他の人たちと何も変わらないのに……!!
ある日突然自由を奪われて…!!
虐げられて!!
人として、生あるものとして見られない!!」

憤りを感じているアマンダは、現実に何故を唱える。
どうしてというほどに涙が止まらない。

「"魚人"と"人魚"は魚とみなされて、狭い水槽の中で一生を終える!!
種族が違うだけで迫害を受ける!!
人間の血を吸うというだけで人間はヴァンパイアを滅ぼした!!
ヴァンパイアたちは歩み寄ろうとして滅ぼされた!!
どうしてよ!!!」

シャンクスはふわりと壊れ物を扱うようにアマンダを抱きしめた。

「シャンクス……?」
「泣け」

その瞬間、鎖と首輪が取れた気がした。
アマンダハ赤子のように声を上げてわあわあ泣いた。