二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 私はただの平凡主義者です。 【REBORN】 ( No.7 )
日時: 2012/06/07 21:29
名前: なゆ汰 ◆TJ9qoWuqvA (ID: 6vo2Rhi6)

「ん、」目を開ければ白い天井。汚れも何もない。あたりを見回せば、ぐすぐすと泣きじゃくるお母さんの姿があった。それと同時に頭に違和感。どうやら包帯のようなものが巻きつけられているようだ。ここは病院らしい。ずきりと痛む頭に、先程のことを思い出す。そうだ。私は雲雀恭弥に襲われて、頭を殴られて、そして気絶した。命があることに安堵する。お母さんは私が目を覚ましたことに気づくと、力いっぱい私を抱きしめながら「よかった…よかった」と呟いた。


「大丈夫なの?頭はどう?痛くない…?」
「大丈夫だよ、お母さん。大したことないし。」
「けど、お母さん心配したのよ…!」


お母さんは、涙をぽろぽろ流しながら私を心配そうに見つめた。いつも笑っている温和そうな顔が、悲痛に歪んでいる。そしてお母さんは、ぎりりと唇を噛み締めた。「なにも、ここまでしなくたって…!」とお母さんは言う。どうやらどうしてこうなったかをお母さんは知っているらしい。けれど仕方ないと思う。風紀を破ったこちらが悪い。確かにいきすぎたお仕置きだとは思うが、相手は雲雀恭弥なのだから何もいえない。ずきんずきんと痛む頭に顔を歪めながら、お母さんの手を握った。


「大丈夫だから。帰って。間違っても雲雀さんに何か言っちゃだめだよ。雲雀さんに楯突いたら、咬み殺されるんだから。」


お母さんは、しぶしぶ帰っていった。私はそれを確認すると、ある人物の名を呼ぶ。「雲雀先輩。」そう呼ぶと、ドアの影から雲雀恭弥がにやりと笑いながら出てきた。やっぱりな。昔から気配を読むのは得意だ。


「ワオ。僕がここにいるってよくわかったね。」
「……ご用件は、」
「特にないよ。僕に咬み殺されるのに泣かなかった女は君が初めてだからね。ちょっと見に来ただけだ。」


そんなことでわざわざくるなんて暇なんですね。……とは流石に言えなかった。がくがくと震える指先を布団の中に隠す。こわい。また殴られるのではないか、そんな気持ちが渦巻いて、恐怖で顔が歪む。雲雀恭弥はそんな私を見て、不適に笑った。「別に咬み殺さないよ。怪我人に攻撃仕掛けるほど僕も非道じゃない」。女をトンファーで思いきり殴る男は非道じゃないのですか。貴方を非道といわずしてなんというのですか。


「君は弱い草食動物だけど、瞳だけはギラギラしてて肉食動物みたいだ。面白いね。」
「…はあ、」


意味がわからない。瞳がギラギラしているだと?私はだんだん貴方という人がわからなくなってきたよ。そう思いながら軽く呆れたようなまなざしを送れば、雲雀恭弥はムッと口元を歪めて、踵を返した。


「もう帰るよ。じゃあね、1年A組東城夕。」


とりあえず手をふっておいた。雲雀恭弥が部屋から出ると、緊迫していた空気が一気に解けて、肩がずしりと重くなった。肩、凝った…。

私は平凡な女だ。なのに何故こうも周りで非凡なことが起こるかな。


転校生の呼び出ししかり、今の雲雀恭弥しかり。



くうっと背伸びをして、瞼を下ろす。嫌な予感がするのは、気のせいであってほしい。



@絶望前線(標的05)