二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 私はただの平凡主義者です。 【REBORN】 ( No.9 )
- 日時: 2012/06/07 21:33
- 名前: なゆ汰 ◆TJ9qoWuqvA (ID: 6vo2Rhi6)
帰り道の途中、ちょっとだけ遠回りした。のが間違いだった。間違いだらけの人生に絶望寸前な気分の私の目の前には、黒いボルサリーノとスーツを着た赤子が銃を持って立っている。何故。最近のおもちゃは精巧に作られてるなーと考えつつも冷や汗たらり。おもちゃだとしても、銃を突きつけられるなんてこんな経験レアだね!とか思えるわけない。とにかく私が運が悪いことを再認識した。否、すでに運が良い悪いの領域ではない。不幸だ。誰か私に幸せを募金してくれないだろうか。無性に泣きたくなった。面倒事に巻き込まれないように生きてるつもりなのに、何故面倒事ばかりが私に降りかかるのだろう。とりあえずこの状況をなんとかしようと、目線をあわすためにしゃがみこんで、精一杯の笑顔を作る。やべ引きつる。
「…ど、どうしたのかな?」
「おまえが東城夕だな」
うんそうだけど。…って何で知っているのだ。おかしい。おかしすぎる。そもそも何故赤子がスーツを着ているのだ。最初の方から間違いだらけだよ。訂正の仕様がないくらい間違えてるよ。赤子はニヒルに笑いながら「オレはリボーンだぞ」とヘリウムガスを吸ったかのような甲高い声で言った。まさかの横文字の名前。何処の国の出身でございますかなんて聞かない。聞きたくもない。
「…ご用件は?」
「ファミリーに入って欲しいんだ」
…ぱーどぅん?ふぁみりー?意味ワケわかめだよリボーンくん。家族になれってか?どれともアッチ系のファミリー?前者はありえない。じゃあ、後者しかなくなる。嫌な予感しかしない。黒いスーツと銃と、おまけにファミリー。私には、重すぎる話題だ。
ああ、どうしてこんなに平凡をのぞむのに、平凡は訪れないのだ。リボーンくんが、ニヤリと笑った。
「ボンゴレのマフィアになれ。…ユウ」
自慢ではないが私の祖父はイタリアに住んでいたことがあるのだ。故に、ボンゴレファミリーの名も、祖父から通して聞いている。
マフィアになれ、と彼は言った。がらがらと崩壊する世界の中、私だけが取り残されて、そして虚無に襲われる。どうして、平凡を望んではいけないのだろうか。どうして、平凡は訪れないのだろうか。そんなの決まっている。平凡など、此の世にはゼロに等しいほどにしか、存在しないからだ。けれど、平凡をどうしても手に入れたかった。普通に暮らすことができれば、それでよかった。平凡で、普通の、人間になりたかった。こんな運命望んでいなかった。
残酷に無情に、彼は言う。私に人殺しになれ、と。
「…いや、だ」
その言葉に、リボーンくんが「拒否権はねえぞ」と言った。あなたは人権という言葉を知っていますか。苦笑いしながら、踵を返して一気に走り出す。逃走。
人殺しなど、そんなこと。私には重過ぎる。
そう、思わないか?
@幸せな物語の主人公には、なれなかった(標的07)