二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 最初で……第3話 出逢い ( No.7 )
日時: 2012/06/10 18:17
名前: 杞憂 (ID: WIx7UXCq)

足がすくんで動かない。
よく耳にする言葉。

まさか自分が体験するなんて
思ってもみなかった。


上手く動かないこの体を抱え込み
再び物陰に身を隠し、
目をぎゅっと固く閉じた。

彼らに見つかった今、
そんな行為など無に等しいが、
そうせずにはいられなかった。

腰に携えた小太刀は最早飾り同然。

そこにいるのはただの弱々しい娘。

ジャリッジャリッと
着々と近づく死への警鐘。



父様…
私は父様に会うために京へ来たのに
会えないまま死んでしまうの?

目的も果たせないまま……?

「………ッ」
そう思うと息が苦しくなった。
うっすら目を開けても上手く見えない。
涙が私の視界を奪う。
声をあげそうになるのを押さえつけるのに
もう精一杯で。

「ひひひひひひひ」


すぐそこに感じる笑い声。
まるで哀れに泣く私を
嘲笑っているかのように。


私はすぐに来るであろう
身を裂く痛みを、理不尽な死を覚悟した。








あれ……?



一向に待っても来ない痛み。
耳を澄ますが、何も聞こえない。



ピチャッ



私の手の甲に生暖かい何かがあたった。
予想してさえいなかった感触に驚き顔を上げる


そこには
菅笠を深く被り、
膝下まである真っ黒な合羽を纏っている
道中姿の者が一人。

その人の足元には
私を殺そうとした狂った獣が二人。

その人の手には赤い液体で彩られた刀。

ふと目が合った。

「……!!!」

その人の目は、
髪は、


私を殺そうとした獣と同じ。




「……」
私のそんな心境を読み取ってか
その人はばつが悪そうに私から目を逸らした。
空気を斬り、刀についた血を払った。
そしてそれを鞘に収める。



「………?」
さっきの人達は私を襲って来たのに…

そう考えているとその人は
私に向かって歩いて来た。

「!!!」

思わず後ずさる。
だけど、後ろは壁で逃げ場所なんかなかった。


あの恐怖が帰ってくる。

私はぎゅっと目を閉じた。


あとがき−ーーー
英検終わりました★
どういう風に意味を取るかは
あなた次第です(笑


コメントくださったカノンさん、
桜舞姫さんほんとありがとぉ(^○^)

それにここまで読んでくださった方々にも
感謝感激です。(*^^*)

これからも未熟な私の作品を見守って下さい。