二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒子のバスケ〜過去の天才〜(10Q更新★) ( No.93 )
日時: 2012/08/31 18:02
名前: ハルはる (ID: L9PtbysF)

(特別編続き)



どんな風の吹き回しなんだ。
しかも、『女バス』に入るなんて。






「白崎さんのシュート、見てみたいんだけどいいかしら」

鷹本が、ボールを手にそう言った。
その言葉に、俺は練習の手を止め白崎を見た。

ハーフライン手前。

シュッ—————・・・

大きな放物線を描くボール。
一瞬、体育館が静かになった。

シュパッ

入った。


「すげぇ」

ただ、その一言に限る。
白崎の投げたボールが足元に転がる。

「ほい、ボール」

「ありがとう」

ニッコリと微笑んだ顔が印象的で、前と違った生き生きした表情。


俺は多分、この時白崎に恋をしたんだと思う。

白崎が笑っていると不思議とやる気が出てきて
クラスで一人でいる白崎を見て、そばに居たいなんて思ってしまった。




「白崎〜、今週末俺ら練習試合あって体育館全面使うから」

「なんであたしに言うの?有季に言いなよ」

「お前が近くにいたから。いいだろ?別に」

「はぁ?有季クラス隣じゃん」

「めんどくせー」

「ふっ、大輝みたいなこと言う」

「・・・」

たまに白崎の口から出てくるキセキの世代の名前。
ムッとしてしまう自分に腹が立った。

「あ〜、そうだった。これ貰ってくんない?作りすぎて部の皆に配ろうと思ってたんだ」

「・・・カップケーキ?」

「お母さんがさぁ、料理下手くそで・・・教えてたらすごい数になっちゃった」

馬鹿でしょ。と笑いながらカップケーキを渡してくる。
シンプルなカップケーキ。口元が緩む。

「さんきゅ」

さっそく食べてみた。


・・・やべー美味すぎだろコレ。

「なぁ皆!これ食ってみろよ美味いぜ」

「ちょっ柳」

「ばーか。大人しくニコニコしてりゃーいいんだよ。親睦深めるチャンスだろ?」

「・・・ありがと」

恥ずかしそうに笑う白崎。
そのすぐ後には満面の笑みが浮かんで、俺も嬉しくなった。












そして、全中の予選も終わり、夏休みに入るちょっと前。

白崎が、事故に逢ったと聞いた。






「ここか」

ナースステーションで聞いて白崎の眠る病室の前に来ていた。
微かに聞こえる機械音。

ドアをゆっくりとあける。

まだ、意識は戻っていないと聞いた。
だから今、来た。

「白崎・・・」

沢山の管に繋がれた体。
静かな病室内に響く機械音。

「し「征・・・十郎」

白崎のおでこに伸ばした手を止めた。

消えてしまいそうな白崎の声。
確かに、「征十郎」と言っていた。

「・・・赤司、征十郎・・・」

キセキの世代のPGの名が、たしかそんな名前だった。

ガラっ
「あれ、先客がいるっスよ」
「まじ?」

扉が開く音とともに聞こえた数人の男の声。
・・・キセキの世代・・・

「誰だよ、お前」
「ちょっと!青峰君その言い方はないでしょ!?」

「・・・クラスメイトだよ。なんか文句あるのか?」

「白ちんまだ起きてないみたいだね〜」

こいつら、俺の事はお構いなしか。

「ここは赤司君1人にしてあげましょう。君も、出ますよ?」

「え〜・・・・ま、しょうがないッスね」

嫌な予感が、的中した。
赤司征十郎。多分・・・いや、確実に白崎の彼氏だ。


「っち、何でだよ・・・」







そして目を覚ました白崎は、俺の事も、紺野達のことも、・・・赤司の事も忘れていた。
バスケ関係のこと全て、少しも覚えてなんかいなかった。





「柳君!あたしね、柳君のことが・・・好きです」

紺野がそう言ってくれて、諦めるのに丁度いいと思ったから、付き合うことにした。

「柳君が杏のこと好きなのは知ってたよ?でも今はあたしを選んでくれた」

「・・・ごめん。」

「いいって!これからだとあたしは思ってる」


俺は、最低な奴だ。