二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【とんがりボウシ×イナイレ】 魔法界へのトリップ ( No.3 )
日時: 2012/08/05 02:05
名前: メロンソーダ ◆cSJ90ZEm0g (ID: jwhubU7D)

  3

「円堂!」
 

 
 心臓が飛び出るかと思った。そんな俺らの心配とは裏腹に、円堂の体に異常は見られない。闇の中に、はっきりとその姿を残している。

「あれっ、普通に風丸たちが見える。こんなに暗いのに」

 確かにおかしい。完全に外と切断されたような闇の中に入ってもなお、姿がはっきりと見えるなんて。おかしいからこそ、風丸たちは気が気でない。

「円堂!戻って来いって!」

 壁山たち一年のメンバーは全員、びびって後ろに後ずさっている。すると染岡が、いつまでたっても外に出てこない円堂に痺れを切らしたのか、ぐるりと後ろを向いて一年たちに呼びかけた。

「おいお前ら。円堂を連れ戻してこい!」

「そ、そんなあ。なんで俺たち・・・」

「・・・・・・」

「わ、分かったでヤンス・・・」

 かわいそうな一年たち。どうせ染岡だって、内心ビクビクしているのだろう。そうでなければとっくに彼自ら扉に入り、円堂を連れ戻しているはずなのだから。
 壁山たち一年生四人は扉の目の前に立ったものの、互い互いに目を合わせてはそむけ、「お前が行けよ」「いやお前こそ」と小突きあっていた。円堂はその光景を見てポカンとしている。自分が心配されていることにまだ気づいていないのだ。・・・この莫迦。

「栗松〜頼むよ」

「い、嫌でヤンス!宍戸が行けばいいでヤンス!」

「俺も嫌だ!壁山・・・」

「俺もぜ————っ対に嫌ッスよぉ!少林———!!」

 最終的に扉の中に突き飛ばされたのは・・・四人の体格差からして薄々予想はついていたが・・・少林だった。

「えっ・・・ちょっ・・・うわああああ!!!」

 勢いよく壁山に突き飛ばされた少林はそのまま飛んでゆき、円堂の立つ位地を追い越し、扉の奥にどさりと着地した。

「か・・・壁山のバカ・・・」

 よろよろとその場で立ち上がりながら、少林は壁山を睨みつけた。・・・やはり、彼の姿もはっきりとしている。その言動が分かる程に。

「ご、ごめん、少林。ほら、キャプテンを押してくれるだけでもいいから・・・」

「え、何?俺に出てほしいだけだったの?」

 ようやく全てを悟ったのか、円堂はピョンとジャンプして扉の外に出てきた。その瞬間、壁山たちがさっと青ざめる。少林ひとりが闇に取り残された状態となったからだ。当の少林は肩をブルブルと震わせ

「・・・! 何なんだよ・・・!知らん!キャプテンも壁山も知らない!!人を勝手にこんな場所に突き飛ばしておきながら———。・・・・・・」

 少林が急に口をつむぐ。自制心を働かせた——わけではないようだ。
 どちらかといえば、突然なにかに恐怖を感じたような表情をしている。・・・どうしたんだ?

「少林?」

 俺が声を掛けると、少林はゆっくりと俺の顔を見た。

「どうしよう・・・。半田さん、俺、どうすれば・・・」