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　　４
　
（一体、あいつの身になにが起きているんだ？）

「どうしたんだ？少林、話してみろよ」

　風丸も異常を察したらしく、彼に声を掛けた。

「俺・・・」

　少林は両手を持ち上げると、ぐっと前に突き出そうとした。しかし、彼の手は動かない。代わりに足が後退した。

（———・・・）

　嫌な予感がしてきた。
　少林は次に拳を振り上げ殴りつける動作をした。すると、拳が何もないところでガツーンと音を立て弾かれてしまったのだ。

（・・・まさか）

　俺の額を冷や汗が伝う。

「・・・進め、ないんです。そっちの方に・・・全然・・・」

　呼吸が止まりそうだ。

「う・・・嘘だろ・・・」

「嘘なんかじゃない！」

　そう叫んだ少林の声は最早悲鳴に近かった。しかし、意外にも彼はそこで泣きわめいたり暴れだすなどの行為には移らなかった。驚くほど冷静な表情で、背後に目をやった。そして、俺たちに背を向け、扉の奥へと進み始めたのだ。

「少林！？」

　壁山たちは目を見張り、円堂たちも信じられないような顔をした。